高級車の新世界 新型メルセデス・ベンツEQE試乗記

来春日本上陸

キャビンのデザインも印象的だった。とりわけ、私が試乗したファーストエディション(外装色:アルパイングレイ。内装色:イエロー/ホワイト)は、レザーの微妙な発色が見事なうえ、ダッシュボード上面に貼られたブルーグレイとオフホワイトのコンビネーションも実に魅力的。

率直にいって、ドイツ車はこの手のカラーコンビネーションが苦手で、どうしても野暮ったくなる傾向があったが、この色合いであればイギリスのラグジュアリーカーにも遜色がないくらい、センスがいいインテリアだと思う。

インフォテインメント・システムの充実振りには呆れるばかり。たとえば、ナビゲーションシステムで目的地までのルートを計算するとき、距離的には短くても標高の高いところを通過する場合にはエアコンを使って車内を暖める必要が出て、結果として電力消費量が増えてしまうケースがある。そんなときには、多少遠回りでも平坦なルートを案内して電力消費を抑えるルート計算機能まで備えているという。

また、ステアリング裏のパドルによって強弱を調整できる回生ブレーキは、車速や周囲の状況などに応じて回生量を自動的に決めることで、アクセル操作を神経質にコントロールしなくて済む工夫が施されているそうだ。この回生ブレーキ・システム、設定次第では完全停止までするワンペダル走行が可能であるが、扱いやすさの点において、私の知る限りベストなEVと評価したい。

もう1台のEQE500 4MATICは、EQE350と違って180km/h付近まで一気に到達するダッシュ力を誇っているが、この動力性能を支えるために足まわりはしっかりと硬められており、乗り心地の快適性はEQE350に一歩も二歩も劣る。しかも、タイヤからのロードノイズがEQE350に比べて格段に大きいうえ、前車軸上に積んだフロントモーターからも「ヒーヒー」という軽いうなり音が聞こえてくる。

速さという点ではEQE350を上まわっていることは間違いないが、そのために静粛性を大きく犠牲にしている点はいかにも残念。私がEQEを買うなら、迷わず350を選ぶだろう。

そんなEQEの弱点を敢えて指摘するならば、クーペライクなワンボウ・スタイル(ボンネットからルーフを経てリアエンドに至るまでのラインが弓を引いたときの形に似ていることか命名された)ゆえに後席のヘッドクリアランスと荷室容量が限られることくらいか。

90kWhのバッテリーにより最長660kmの航続距離を実現し、最高で170kWの急速充電を受け止める能力を備えたEQE350は、早ければ来春にも日本上陸を果たすそうだ。

文・大谷達也

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