高級車の新世界 新型メルセデス・ベンツEQE試乗記

メルセデス・ベンツのBEV(バッテリー式電気自動車)である新型「EQE」に大谷達也が試乗した。メルセデスが考えるこれからのセダンとは?

ロールス・ロイスを彷彿とさせる静粛性

走り始めて5mと進まないうちに、メルセデスベンツEQEがあまりに静かなことに度肝を抜かれた。どんなに静かなクルマだって、2tも重量があるクルマが動けば絶対になんらかの音がするもの。

でも、EQEの車内はまったくの無音なまま、ガラスの向こう側に見える景色だけが動き始めたように思えた。

これに匹敵するくらい静かなクルマといえば、私が知る限り、ロールス・ロイスぐらいしかない。ところが、フランクフルトの一般道を走り始めたばかりのEQEは、ロールス・ロイスとおなじか、ひょっとするとこっちのほうが静かなんじゃないか? と思うくらい、もの音ひとつ立てずにスルスルと走り始めたのである。

そんな驚愕の体験をするおよそ10分前、私はメルセデスベンツでEQシリーズの開発を統括するシャラム・ハミ-ノバリさんの話を聞いていた。

「モーターは、振動を遮断する部品を介してサブフレームに固定されています。そしてサブフレームも、振動を遮断する部品を介してシャシーに固定されています」

つまり、シャシーとモーターのあいだには振動を遮断する部品(たいていはゴム製の制振材だ)がふたつ存在しているのか? そうハミ-ノバリさんに訊ねてみると、「そうです」との答えが返ってきた。

もともと静かにまわることで知られるモーターに、ここまで念入りに振動を遮断する努力をおこなっているというのは、それだけEQEが“静けさ”を追求した電気自動車であることを物語っている。

そのほかにも、EQEには静けさを追求した痕跡が随所に残されていた。

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