ゴールデンウイークを前に円相場は1ドル=130円台を突破し、平成14年以来、20年ぶりの円安水準となった。新型コロナウイルス禍では、先進7カ国(G7)の中で日本経済だけが回復に後れを取り、成長率の低迷は著しい。この「日本独り負け」は、数十年にわたる連続した経済政策や経営選択の帰結でもある。果たして突破口はあるのか。現状と処方箋について日本電鍍工業の伊藤麻美社長に聞いた。
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耐食性や対摩耗性など多くの機能を製品に付与することができる貴金属めっきを主力事業としているが、原材料である金は新型コロナウイルス禍による経済不安を背景に、ロシア産が多いプラチナなどの白金族系はウクライナ侵攻により、それぞれ価格が高騰した。こうしたマイナス要因に、追い打ちをかけているのが今回の急速な円安だ。