ルーブルが急回復 〝奇策〟奏功も持続性に疑問

ウクライナ侵攻で欧米などの経済制裁を受けて暴落したロシアの通貨ルーブルが急回復している。一時は対ドルで半分の価値に落ち込んだが、現在は侵攻前の水準を回復した。輸出企業が得た外貨を強制的に売却させたり、天然ガスの輸出で得た外貨をルーブルに換金したりするなどの〝奇策〟が功を奏しているためだが、先細りが予想される外貨収入を浪費しているのが実態で、施策の持続性には疑問が投げかけられている。

ルーブルの対ドル相場は侵攻直前の2月23日に1ドル=81ルーブルだったが、欧米などがロシアの主要銀行を国際決済網から排除したり、ルーブルを買い支えるためにロシア中央銀行が使う外貨準備を資産凍結したりするなどの制裁を科したことを受けて急落。3月7日には139ルーブルにまで落ち込んだ。しかしその後は急速に持ち直し、4月29日には71ルーブルにまで上昇している。

背景にはロシアが相次ぎ打ち出した制裁への対抗策がある。プーチン露大統領は2月28日、露国内の企業が輸出で得た外貨の80%を3日以内にルーブルに換金することを義務付ける大統領令を発令。さらに3月31日には「非友好国」に指定した国・地域の企業に対し、露産天然ガスの購入代金をルーブルで払うよう強制する大統領令を発令した。いずれもルーブル需要を人為的に生み出し、価値を下支える効果がある。

欧州諸国は天然ガス代金のルーブル払いを容認していないが、ロシアは制裁の対象外となっているガスプロムバンクに専用口座を開設し、輸入代金として振り込まれた外貨をこの銀行が〝代理〟で即座にルーブルに換金する処理をしているとみられる。

ロイター通信によれば、欧州諸国は1日当たり最大8億ユーロ(約1095億円)をガス代金としてロシアに支払っており、この金額がルーブル購入に充てられることになる。エネルギー価格の高騰でロシアの貿易黒字は拡大しており、それもルーブルの価値を押し上げることになる。

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