和歌山県が誘致を進めてきたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)は、区域整備計画案の国への認定申請期限(4月28日)直前に県議会で否決され、頓挫した。県が選定したカナダの事業者の資金調達などへの不信が理由だが、実は昨年6月に事実上、この事業者に決まった当初から、県議会からは資金調達を不安視する声が上がっていた。その後、県の担当者が議員への説明を繰り返したが、仁坂吉伸知事は「初めの『だめ』(の印象)が固定観念のようになり、説得できなかった」とうなだれた。否決に至るまでの舞台裏とは―。
ライバル撤退、不安残りつつ選定
和歌山県が、カナダの事業者「クレアベスト」を正式決定前段階の優先権者候補として発表したのは、昨年6月2日だった。事実上の事業者選定で、仁坂知事は会見で「自信を持って次のステップへいける」と自信をみせた。