首相、ロシア排除へG20議長国に地ならし

歓迎式典に臨むインドネシアのジョコ大統領(左)と岸田首相=29日、ジャカルタ南方ボゴールの大統領宮殿(代表撮影・共同)
歓迎式典に臨むインドネシアのジョコ大統領(左)と岸田首相=29日、ジャカルタ南方ボゴールの大統領宮殿(代表撮影・共同)

岸田文雄首相がインドネシアを訪問したのは、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力を強化するためG20(20カ国・地域)議長国のインドネシアに働きかける必要があると判断したからだ。ただ、ジョコ大統領は首相の訪問にぶつける形で、ロシアのプーチン大統領がG20首脳会議に出席する意向を伝えたと明らかにした。首相はジョコ氏とウクライナ侵攻に関する認識を共有し、11月の首脳会議に向けた地ならしを行う考えで会談に臨んだが、双方の立場を一致させるのは難しいことを印象付けた。

「議長国としてどうG20をリードしていくのか。きょうの意見交換も踏まえ、ジョコ大統領もいろいろ検討するのではないかと想像する」。首相は会談後、記者団にこう語り、インドネシアの対露姿勢の変化に期待をにじませた。

日本を含む先進7カ国(G7)はG20の場で、2つの矛盾する可能性をはらむゴールを目指す。1つはロシアに対する圧力強化で、もう1つは原油、食料価格高騰対策だ。

G20は世界の国内総生産(GDP)の8割を占め、有効に機能しなければ原油や食料価格の高騰に対処することはおぼつかない。一方で、20カ国・地域のうち対露制裁を行っていない国は約半分の9カ国に上り、対露圧力の強化を求めれば、もともとまとまりに欠けていたG20の機能はさらに低下する恐れがある。

対露圧力を強めつつ、G20を機能させる上でカギを握るのが議長国のインドネシアだ。東南アジア唯一のG20メンバーで、人口、面積ともに東南アジア諸国連合(ASEAN)最大だ。外務省幹部は「大国意識が強く、米国のように頭ごなしに対露圧力を求めても反発しかねない」と語る。今月20日のG20財務相・中央銀行総裁会議では、ロシア排除を求める米国に折れず、結局米国も出席した。

だが、首脳会議に関しては、日本もロシア排除を強く求める方針だ。政府高官は「プーチン大統領が出てきて『国際協力を議論しましょう』というのは想定できない。少なくとも軍事行動の決定に直接関与した人とは話しづらい」と語る。

首相は「G20まで6カ月余りある」とも語った。まずはウクライナ情勢に関する認識を共有し、首脳会議が近づいた段階で米国などが欠席した場合の損失を説き、インドネシアに大国としての役割を果たすよう求める構えだ。(ジャカルタ 杉本康士)

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