編集者のおすすめ

『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』 〝変われない日本〟への警鐘

『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(大前研一著)
『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(大前研一著)

『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』大前研一著(小学館・1650円)

「なぜこの国は変われないのか」―。世界的ベストセラー『企業参謀』の著者で、マレーシアや台湾の経済アドバイザーも務めた経歴を持つ経営コンサルタントは、そんな問いから本書を始めています。

かつて日本は世界第2位の経済大国としてアジアの雁行(がんこう)モデルの先頭を飛翔(ひしょう)していましたが、今は1人当たりGDPでは、シンガポールを下回ります。

〈日本が落ちぶれている理由は明白だ。〝変化できない国〟になったからである〉

政治家や官僚は「惰性」と「前例踏襲」を繰り返すばかりで、21世紀のボーダーレス経済やデジタルトランスフォーメーションにも対応できていません。その旧態依然ぶりは新型コロナ禍への対応でも明白になりました。

「このままでは、繁栄の後に長期衰退に陥ったスペインやポルトガルと同じ運命をたどることになる」―。そう警鐘を鳴らし続ける著者は、「日本没落」を回避するには「少子化」「教育」「国民国家」という3大問題を解決するしかないとした上で、日本の「デジタル改革」を論じる章では、現在の極めて使い勝手の悪いマイナンバー制度をゼロベースで作り直すよう提言します。

「最後の処方箋」というサブタイトルには、これまで30年以上にわたって、日本の国家戦略を論じてきた著者の提言の集大成という意味が込められています。それと同時に、〝変化できない国〟に待ち受ける未来を暗示しているといえるかもしれません。

(小学館 週刊ポスト編集部 関哲雄)

会員限定記事会員サービス詳細