関西の鉄道

長さ日本一  続く延伸 「大阪モノレール」  一時はギネス 「鉄むす」も3位に

モノレールとしては日本最長の運行距離を誇る大阪モノレール=大阪府吹田市
モノレールとしては日本最長の運行距離を誇る大阪モノレール=大阪府吹田市

今年は日本の鉄道開業150年。明治5(1872)年の新橋―横浜間の開通以降、各地に路線網が広がり、関西も個性あふれる鉄道を生み出してきた。関西の鉄道の「ナンバー1」にまつわる話題をみる。

大阪(伊丹)空港から大阪府北部を横断して同府門真(かどま)市を結ぶ「大阪モノレール」。本線21・2キロ、彩都(さいと)線6・8キロを合わせた総運行距離28キロは一時はギネス世界記録に認定され、現在でもモノレールでは日本最長を誇る。また、支線を持つのも跨座式(こざしき)モノレールでは日本唯一という珍しさだ。令和11年には門真市駅から同府東大阪市の瓜生(うりゅう)堂(どう)駅(仮称)まで約8・9キロの延伸も計画され、最長を更新する。

大阪モノレールは、大阪市中心部から放射状に路線が広がる私鉄やJRと接続する鉄道を大阪北部に作り、交通アクセスの向上を目指そうと大阪府が計画。昭和45年の大阪万博以降、大阪北部など大阪市周辺部では人口増が続き、交通網の整備が求められていた。

昭和55年に第3セクター「大阪高速鉄道」が設立され、約10年かけ千里中央-南茨木が開業した。

開業当初、1日の旅客数は1万3千人程度だったが、平成9年度に大阪空港駅の開業などを機に約4・5倍の5万9千人にまで急増。27年度には万博記念公園駅周辺に大型商業施設「EXPOCITY」や、Jリーグ・ガンバ大阪の本拠地「パナソニックスタジアム吹田」がオープンし、令和元年度には年間旅客数は過去最多の4933万人(1日約13万5千人)に達した。

大阪モノレールによると、一時は約200億円の累積赤字を抱えていたが、平成13年度に経常損益が黒字に転換。16年度に債務超過、27年度には累積赤字をそれぞれ解消。経営改善が進んだ。井出仁雄社長は「開業当初に府から受けた支援をすべて解消し、新たな区間の事業に着手する機が熟した」と説明する。

万博前の昭和42年、大阪空港から堺市の臨海部まで府道・大阪中央環状線に沿って大阪市を半円状に取り囲むような形で開通させる鉄道路線が構想された。大阪モノレールの原形ともいえる構想だ。大阪モノレールは千里中央-南茨木の開業以降、直近の平成19年開業の阪大病院前-彩都西まで5回にわたって延伸を続けている。

今回の門真市駅以南への延伸で大阪メトロ長堀鶴見緑地線、JR学研都市線、近鉄けいはんな線、近鉄奈良線の4路線とそれぞれ接続。完了すれば計10路線とつながり、同社は「広域的な鉄道ネットワーク機能が強化される」としている。

6度目の延伸は何をもたらすか、新たなステージに動き出している。

関西ナンバー1の「鉄むす」がお出迎え

大阪モノレールを訪れると、等身大の女性キャラクターが出迎えてくれる。名前は「豊川まどか」。玩具メーカー、トミーテック(栃木県)が展開する、鉄道会社で働く女性をモチーフにした「鉄道むすめ」シリーズの大阪モノレール担当だ。

関西では人気ナンバー1の「鉄道むすめ」豊川まどか
関西では人気ナンバー1の「鉄道むすめ」豊川まどか

豊川まどかは平成27年、同社の開業25周年を記念してデビュー。名前の由来は「豊川」と「門真市」の両駅にちなんだという。

令和3年に実施された「鉄道むすめ15周年記念キャラクター総選挙」では、全国で3位、関西で1位に入る快挙。その結果を受け、大阪モノレールは4駅に等身大パネルを設置するなど同社のイメージキャラクターとしてイベントにも活用。記念乗車券やグッズ類なども販売している。

万博記念公園駅には、誰もが気軽に演奏できる「豊川まどかの駅ピアノ」が設置されており、定期的にピアノコンサートが開催されている。同社経営戦略室の織田幸一係長は「万博記念公園駅構内には広いスペースがある。定期的に活用して地域活性化につなげたい」と話している。(格清政典)


「1番」がないのに日本一が2つ JR京都駅、「十津川警部」の舞台にものイメージ



会員限定記事会員サービス詳細