ポトマック通信

米海軍士官学校の自衛官

先日、アナポリスにある米海軍士官学校を駐在員仲間と見学に訪れた。海沿いのキャンパスを案内してくれたのは、2016年から教官を務める海上自衛官の前山一歩2佐(56)。米海軍の歩みに等しい士官学校の歴史と日本との深い縁を説明してくれた。

第1期卒業生のひとりにジョン・ブルックがいることを知らされた。ブルック(当時大尉)は1860年、勝海舟や福沢諭吉ら遣米使節団が乗船した咸臨丸の事実上の艦長を務めた。

「ブルックがいなかったら、明治の歴史は変わっていたでしょうね」。海洋探査の船が座礁して横浜に滞在していたブルックは技術顧問として乗り込んだ。太平洋の大しけに遭遇した日本人乗組員はなすすべがなかった。経験豊かなブルックとジョン万次郎が運航を担当し、無事サンフランシスコに入港できたという。

「咸臨丸が沈没していたら、勝の江戸開城も、坂本龍馬の活躍も、福沢の慶応義塾もなかった‥」

ミッドウェー海戦の記念碑前。「米国に暗号を解読された日本の大敗がここでは『奇跡的な勝利』と教えられています」。シーパワーの米国にとって「日本は太平洋をはさんだ隣国」。私たちもそう実感した。

その数日後、前山2佐は帰国、定年退官した。学生や教官との6年間の交流は、日米同盟と両国の友情の大きな財産となろう。(渡辺浩生)

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