埼玉県川越市の企業が、食品を急速冷凍して鮮度を保つシステムを開発、特許を取得して製品化した。鮮度を長期間保つことができるため食品ロスの削減につながるとPRしている。
新たな冷凍システムを用いた製品「フードタイムマシン」を開発した企業「豊翔」は、印刷や製本を本業としており、事業の多角化を進める中でシステムの開発に至った。
仁居(にい)弘一社長によると、食品を冷凍する場合、凍り始めるマイナス1~5度は氷結晶が大きくなり食品内部の組織がダメージを受けやすくなるため、おいしさを保つにはこの温度帯の時間を短くする必要がある。一般的な製品が30分程度であるのに対し、フードタイムマシンの場合は10分以内。冷凍を加速させるための振動装置と特殊な液体が急速冷凍を可能にしたという。
フードタイムマシンは、食物の水分と脂肪分を同じ速度で凍結できるマイナス60度まで冷やすことができる。急速冷凍後に解凍した刺し身を、元のままの刺し身と記者が食べ比べたところ、容易には区別がつかないほどの鮮度だった。
これまでに飲食店や食品加工会社などに計80台を販売した。仁居社長は「水分が多く傷みやすい食材のおいしさを閉じ込めて保存できる。年間を通じて旬の味の提供が可能だ」と話している。(兼松康)