電力各社が業績悪化、ウクライナ侵攻で燃料費高止まり

東京電力の南横浜火力発電所(横浜市)
東京電力の南横浜火力発電所(横浜市)

大手電力10社の令和4年3月期連結決算は、ロシアのウクライナ侵攻で拍車がかかった燃料価格の高騰の影響を色濃く受けた。原子力発電所の再稼働が進まない中、液化天然ガス(LNG)や石炭など化石燃料を使う火力発電への依存度が高い会社への逆風は強い。ウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、燃料費の高止まりが続けば各社の経営環境は一段と厳しくなる。

「非常に厳しい決算の結果だ。(こうした状況は)引き続き続くものだと考えている」。東京電力ホールディングスの小早川智明社長は28日の記者会見でこう述べた。東電は赤字転落こそ免れたが、最終黒字額は前期比で9割超減った。

電力会社には、燃料価格の増減を販売価格に自動的に反映させる制度がある。ただ、実際に反映させるまでには時間差があるため、一時的に収支が悪化する。また、大手10社中5社の家庭向け電気料金はこの制度の上限に到達しており、6月分で6社に増える。6社は政府に電気料金の値上げを申請しなければ、上限の超過分は自社負担となる。

為替の急速な円安進行も燃料の輸入コストを増大させる。発電された電気を売り買いする卸電力市場の取引価格の高騰も電力調達コストの増加につながる。

東北電力は、3月の福島県沖地震で被災した一部火力の停止が続くことも重荷だ。二階堂宏樹上席執行役員東京支社長は「現在の状況が続いた場合には5年3月期も厳しい収支となることも想定される」と話す。

原発を活用すれば、火力の燃料費を減らす効果が見込める。しかし、現状で再稼働済みの原発を持つのは関西電力、四国電力、九州電力の3社にとどまる。

電力の小売り全面自由化のもとで競争が激化し、大手各社にとって厳しい経営環境が続く中、燃料費高騰が追い打ちをかけている。(森田晶宏)

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