鑑賞眼

大人も夢中に ミュージカル「メリー・ポピンズ」 東京・大阪公演

ミュージカル「メリー・ポピンズ」(C)Disney/CML
ミュージカル「メリー・ポピンズ」(C)Disney/CML

長引くコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻と連日、気がめいるような報道に触れていると、何かぱっと気分を明るくさせてくれるものを欲するものだ。

そういうときはシリアスな劇よりも、底抜けに明るく、楽しいミュージカルがいい。しかも童心に戻って、あれこれ思考をめぐらさなくて済む、分かりやすい作品なら、なおいい。

ということで、筆者のように精神的にちょっとお疲れ気味という人にお薦めなのが、現在、東京で上演中のミュージカル「メリー・ポピンズ」。原作はウォルト・ディズニーの映画「メリー・ポピンズ」(1964年公開)。メリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースが米アカデミー賞で主演女優賞を受賞するなど5冠に輝いた。

本ミュージカルは2004年、英国で初演され、その後、米国など世界各国で上演されてきた。日本では平成30(2018)年、日本人キャストによる公演が初めて行われ、今回は4年ぶりの再演。主要な役はダブルキャストで、メリー・ポピンズ役を濱田めぐみと笹本玲奈が演じている。

筆者が見た回(4月7日昼)は濱田のメリー・ポピンズ、バート(大貫勇輔)、ジョージ・バンクス(山路和弘)、ウィニフレッド・バンクス(木村花代)、バードウーマン/ミス・アンドリュー(鈴木ほのか)、ブーム提督/頭取(ブラザートム)という配役だった。

映画と違って、舞台で見るミュージカルは目の前で歌ったり、踊ったり、とそのライブ感は唯一無二。「チム・チム・チェリー」「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」など一度聞いたら、耳から離れず、思わず口ずさみたくなる軽快な音楽の数々。〝魔法〟仕立てのさまざまな仕掛けも楽しい。

そしてキレキレの圧巻のダンスシーン。高速で動きながら音を外すことなく、皆よく合わせられるものだ、とただただ感心させられた。キャストも適役ぞろいで違和感なく物語の世界に入り込める。

とくに濱田のメリー・ポピンズが良かった。濱田は初演に続き、2度目の配役。問題を抱えたバンクス一家を包み込む温かさも備えた優秀なナニー(子守)をうまく体現していた。

「てきぱき、サササッ!」と子供たちをけしかける姿や傘を差し、風に乗って去っていく姿…。今もさまざまなシーンが頭に浮かぶ。筆者も濱田のメリー・ポピンズにすっかり心を奪われてしまった。子供だけでなく、大人も満足できる舞台で、笹本のメリー・ポピンズをぜひ見てみたい。

3月24日~5月8日、東京都渋谷区の東急シアターオーブ。5月20日~6月6日、大阪市北区の梅田芸術劇場。ホリプロチケットセンター、03・3490・4949。(水沼啓子)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。

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