「緩和修正」観測を一蹴 黒田日銀、長期戦を覚悟

円相場が一時、1ドル=130円台まで値下がりした=28日午後、東京都中央区(岩崎叶汰撮影)
円相場が一時、1ドル=130円台まで値下がりした=28日午後、東京都中央区(岩崎叶汰撮影)

日本銀行は28日の金融政策決定会合で指定の利回りで国債を無制限に買う「指し値オペ」を毎営業日実施する方針を打ち出し、政策修正を期待した投機筋の動きを一蹴した。円安は長期化が避けられず、一度譲歩すれば際限のない催促に巻き込まれる恐れがあったからだ。ただ、日銀がお墨付きを与えたことで円相場は1ドル=130円台に急落しており、物価上昇を懸念する政府への圧力も強まる。

「金利上昇を今後も決して容認しない。その姿勢を疑うな」-。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、今回の決定から読み取れる日銀の意図を、こう解説する。

日米の金利差拡大を背景にした円安が物価高を助長する中、市場では日銀が長期金利の防衛ラインを0・25%から引き上げるなど円安抑制で政策修正に動くとの観測が出ていた。だが、日銀の回答は逆に指し値オペを常態化させ、金利を徹底的に抑える方針だった。

米国の利上げはウクライナ危機などによる歴史的インフレが背景にあり、沈静化には時間がかかる。今後も円安圧力が続く状況で譲歩すれば、投機筋は攻勢を強めることで政策修正を引き出せると味を占め、さらなる円安が加速する催促相場に陥る可能性があった。

とはいえ、投資家は低金利で調達した円を売り、高金利のドルを買って資産運用ができる。日銀が指し値オペで低金利を固定化したことで、相場が動けば損失も出るこの「円キャリートレード」で事実上、利益を〝保証〟してくれることになり、円安につながった。

市場参加者が少なくなる大型連休中は例年、相場の変動が大きくなりやすい。今後、平成14年1月に記録した135円台に迫る動きが想定され、それすら突破した場合は10年8月の147円台が意識されそうだ。

日銀が今回、円安を事実上いとわない姿勢を示したことで、当面の対応は政府に委ねられる。鈴木俊一財務相は、21日の日米財務相会談で協調介入を議論したとの一部報道を強く否定したが、大型連休中に為替相場が大きく動けば政府の出方に注目が集まりそうだ。(高久清史)

会員限定記事会員サービス詳細