基準あいまい、分かれる判断「特定少年」実名公表で

大阪府寝屋川市で今年3月、専門学校生の吉村竜(りゅう)さん(20)が刃物で刺され死亡した事件で大阪地検は28日、強盗致死罪で、18歳と19歳の男2人を起訴し、氏名を公表した。今月1日施行の改正少年法で18歳、19歳は「特定少年」と位置付けられ、起訴後の氏名公表を巡っては、最高検が「犯罪が重大で地域社会に与える影響も深刻な事案」を検討の対象とし、典型例として裁判員裁判対象事件(故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪-など)を挙げている。今回の処分理由についての大阪地検のコメントも、この最高検の基準と同一だ。

ただ犯罪の重大性と地域社会への深刻な影響という要件は、抽象的で解釈の余地が広い。特定少年が起訴された全国の事例を見ても、公表の判断は分かれている。

新潟地検は21日、制限速度を超えて車を運転し、対向車に衝突して同乗者を死亡させたとして、裁判員裁判対象事件にあたる自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の罪で19歳男を在宅起訴したが、氏名は公表しなかった。

今回の大阪・寝屋川の事件も、被害者が死亡した結果については特定少年2人の故意を認めず、致死罪を適用しているが、新潟のケースとは違って、いずれも実名公表に踏み切った。強盗という財産犯の中でも重大な罪で、利欲的な性質を重視したといえる。

今後も特定少年の起訴は続くとみられるが、公表基準があいまいなため、検察の判断が恣意(しい)的なものに流れる懸念も残る。専修大の沢康臣教授(ジャーナリズム論)は「家裁からの逆送事件で起訴した特定少年は原則すべての事件で氏名を公表すべきだ。匿名だと裁判に市民の目が届かない」と主張した。

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