何度も使える「2750円のタオル」は、なぜ1週間で完売したのか

2月末に販売した「STTA」が好調
2月末に販売した「STTA」が好調

「2750円のタオルはいかが?」――。

このように言われると、どのように感じるだろうか。多くの人は「た、高いよ。100円ショップでも、ふんわりしたモノを買えるでしょ」と思われたかもしれないが、筆者も同じ意見である。

一般的に「高級タオル」をうたっているブランドのタオルを見ても、2000~3000円も出せば、2~3枚入っていることが多い。こうした相場を考えると、「2750円のタオル」がいかに“高い”かがよく分かる。

庶民にはなかなか手がだせないタオルを2月末に発売したところ、わずか1週間で完売。その後も、つくっては売れて、つくっては売れてを繰り返して、現在(4月26日時点)も品切れ状態が続いている商品がある。吸水スポンジメーカーのアイオン(大阪市)が開発した「STTA(スッタ スティックタイプ)」である。

水滴をサッと拭きとることができる
水滴をサッと拭きとることができる

アイオン? STTA? 見たこともなければ、聞いたこともない人も多いかもしれないので、簡単に紹介しよう。STTAは、通勤や外出時に持ち運びができるスティック型のタオルである。サイズは、直径40ミリ、高さは155ミリで、重さは63グラム。パッと見たところ「小さな水筒かな」と感じられるほど、細長い形をしている。

同商品の最大の特徴は、濡れたモノをサッと拭いて、すぐに乾かせることができること。普通のタオルやハンカチであれば、水を吸ってしまうとポケットなどにしまいづらくなるが、これは違う。絞るとすぐに吸水力が復活して、何度でも使うことができるのだ。

“次の商品”として「STTA」を開発

濡れたモノをサッと拭いて、絞るとすぐに復活する――。この話を聞くだけで、「うまく言えないけれど、なんかスゴそう」感が漂ってくるわけだが、どういった素材でできているのだろうか。アイオンが5年以上かけて開発した「ソフラス」という素材を使っていて、同社によると、一般的な珪藻土(けいそうど)素材の約3倍、吸水速度は約6倍だという。

どんなシーンで使われているのかというと、液晶テレビやスマートフォンを製造するときに、ガラス基板を洗浄したり、吸水したりする際に使われていて、現在のシェアは50%を超えているそうだ。というわけで、ソフラスはもともと、産業用として開発された素材である。普段の生活を送っていて、ソフラスの「ソ」の字も触れることはないわけだが、そんな素材がなぜ登場することになったのだろうか。

STTAは「ソフラス」という素材を使っている
STTAは「ソフラス」という素材を使っている

話はちょっと変わるが、アイオンは2017年にヒット商品を開発している。同社はB2Bのビジネスを展開しているが、家庭用のアイテムを提供することはできないかと考え、吸水スポンジ「suuu(スウウ)」を販売したところ、2万5000個も売れたのだ。

全体的にユニークな形状をしていて、人気の「sizuku(シズク)」は先端がとんがっている。また、カラフルな色使いをしていることもあって、「キッチンに置けばオシャレかも」といった人が増え、人気が集まった。

suuuはヒット商品に
suuuはヒット商品に

B2Bを主戦場にしている会社が一般ユーザー向けの商品を出すのは難しい。ヒット商品を出すことはさらに難しいと言われているので、suuuが売れたことは「よかった、よかった」の話である。しかし、同社には大きな悩みがあった。プレスリリースにも「手作り工程が多く、生産にひじょうに時間を要する商品」と書かれているように、生産性がよくないのだ。

「オシャレな形状にしたのはよかったのですが、その形をつくるのに手間がかかってしまって。この問題を解決するために、どうすればいいのか。社内で議論した結果、“次の商品”として『STTA』の開発がスタートしました」(アイオンの本橋拓志さん)

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