露の拒否権行使「乱用」 改革求める声相次ぐ

2月25日、米ニューヨークの国連本部で開かれた国連安全保障理事会で、拒否権を行使したロシアのネベンジャ国連大使(ロイター)
2月25日、米ニューヨークの国連本部で開かれた国連安全保障理事会で、拒否権を行使したロシアのネベンジャ国連大使(ロイター)

【ニューヨーク=平田雄介】国連安保理で拒否権を行使した常任理事国に説明を求める決議を採択した総会会合では、ウクライナ侵攻をめぐるロシアの拒否権行使を「乱用だ」と非難し、安保理の一層の改革を求める国が相次いだ。米国、英国、フランス、ロシア、中国の5カ国に特権的地位を与える拒否権制度への不満は強まっている。

国連外交筋によると、ロシアが軍の即時撤退を求める安保理決議案に拒否権を行使した2月以降、安保理の一致した対応を妨げる拒否権への疑問を口にする国連大使が増えたという。

ウクライナのゼレンスキー大統領が今月5日、安保理へのビデオ演説で「ロシアは拒否権を『死をもたらす権利』にした」と改革を強く訴えると、シリア内戦をめぐる拒否権乱発を受けて、リヒテンシュタインが2年以上前から調整を進めてきた今回の決議案採択への支持が急速に広まった。

共同提案国は83カ国に上り、安保理改革を唱えてきた日本やドイツ、フランスやメキシコも名を連ねた。

大規模な残虐行為があった場合、常任理事国が自主的に拒否権行使を控えるとの改革案をメキシコとともに提唱していたフランスのブロードハースト国連次席大使は26日の総会会合で、さらなる安保理改革に取り組む決意を示した。

日本は、現在の安保理が発足した当時から変化している国際社会の現状を十分に反映していないとして、理事国拡大などを目指してきた。加盟国は旧植民地の独立や冷戦終結後の国家の分離・独立などにより、国連発足時の1945年の51カ国から193カ国に増えたのに対し、安保理は非常任理事国が当初の6カ国から10カ国に増えただけだ。石兼公博国連大使は「常任理事国はより高いレベルで説明責任に向き合わなければならない」と、今回の決議に賛意を示したうえで、国連がより効果的に機能するよう安保理改革を推進すべきだと訴えた。

一方、日本とともに安保理改革を目指してきたブラジルとインドは今回、慎重な姿勢に終始した。ブラジル代表は「安保理と国連総会との微妙なバランスを変える恐れがある」とし、インド代表も「安保理が麻痺しても、国連総会が緊急特別会合を開く枠組みがある」と主張した。インドは武器輸入、ブラジルは肥料輸入をロシアに頼る。今後の国連改革の行方には地政学的な要素が影響する可能性がある。

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