「安全管理ずさんだった」運航会社社長が認める

会見を行う、知床遊覧船の桂田精一社長=27日午後、北海道斜里町(鴨志田拓海撮影)
会見を行う、知床遊覧船の桂田精一社長=27日午後、北海道斜里町(鴨志田拓海撮影)

北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU Ⅰ(カズ・ワン)」=19トン=が遭難し、11人が死亡、15人が行方不明になった事故で、発生5日目となった27日、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)の桂田精一社長(58)が同町内で記者会見し、出航を最終的に承認したとして、「今となれば、判断は間違っていた」と述べた。桂田社長が事故後公の場に姿を見せるのは初めてで、会見冒頭に「この度はお騒がせして大変申し訳ございませんでした」と土下座して謝罪した。

同社事務所の無線用アンテナが損傷していることを、事故当日に同社関係者から指摘されていたとも明らかにした。第1管区海上保安本部は同社の運航体制に問題がなかったか、業務上過失致死や業務上過失往来危険の疑いでの立件を視野に調べる。

桂田社長は会見で、昨年から事故当日までのカズ・ワンの整備状況などを説明。今年4月15日にテスト走行し、20日には日本小型船舶検査機構(JCI)の検査に合格。21日の海上保安庁の定期点検でも、船体の亀裂などは確認されなかったとした。

事故当日の23日朝、社長自身も港で天候状況を確認。豊田徳幸船長(54)と話し合い、海が荒れた場合は引き返すという条件付きの運航とすることで合意したと説明した。

また、事故前には事務所の無線用アンテナが損傷していたことを把握。業者に修理を依頼したものの、「携帯電話や他社の無線でやり取りが可能であり、出航を停止する判断はしなかった」と話した。一連の対応について「安全管理がずさんだった」と認めた。

関係者によると、豊田船長は、23日午後1時10分ごろから数回、町内の別の観光船会社と無線で交信。「船が前の方から沈んでいる」「救命胴衣を着けろ」などと話していたという。

会見に先立ち、桂田社長は同じホテルで、乗客の家族ら約60人に対し、出航判断や安全対策などを非公開で説明した。

1管は27日、死亡した11人のうち、新たに佐賀県の男性2人と福島県の男性1人の氏名を公表した。1管などによる同日の捜索では不明者の手掛かりを得られず、カズ・ワンから救助要請があった「カシュニの滝」付近の海域で得られた水中音波探知機(ソナー)の反応は、岩の起伏によるものだった。

会員限定記事会員サービス詳細