「外国人被害者も支援充実を」 殺害されたベトナム女性遺族支援の住職訴え

「在留ベトナム人を守ることも大切な仕事」と話すティック・ドゥック・チ住職=神戸市長田区
「在留ベトナム人を守ることも大切な仕事」と話すティック・ドゥック・チ住職=神戸市長田区

大阪市淀川区の建物2階の一室で今月3日、階下の弁当店で勤務するベトナム国籍のヴォ・ティ・レ・クインさん(31)が殺害された事件。すでにヴォさんの告別式は神戸市長田区のベトナム仏教寺院・和楽(わらく)寺で営まれ、遺骨は母国に帰った。住職で在日ベトナム人のティック・ドゥック・チさん(31)は「残された家族が少しでも心安らかになれば」と話す一方で、外国人被害者の支援体制の少なさも訴える。

和楽寺で今月11日に営まれた告別式には、ベトナム人の友人ら約40人が駆け付け、早すぎる死を悼んだ。住職のドゥック・チさんは、ヴォさんの自宅で憔悴(しょうすい)する夫(35)にも寄り添い、告別式や遺骨を送る手続きを無償で支援した。ヴォさんの友人らによると、夫は20日に遺骨を持ってベトナムに帰国し、多くの親族や友人らとともにお別れの会を開くことができたという。

これまで事件や事故で亡くなったベトナム人約50人を弔ってきたドゥック・チさんは「事件後には葬儀や遺骨の返却など、複雑な手続きが多い」と強調。外国人の被害者や遺族について「日本語が堪能でない人も少なくないのに、支援は民間に委ねられているのが現状だ」と訴える。

 母国ベトナムで営まれたヴォ・ティ・レ・クインさんのお別れの会。豪華な祭壇が組まれ、中央には笑顔の遺影が飾られている(知人提供)
母国ベトナムで営まれたヴォ・ティ・レ・クインさんのお別れの会。豪華な祭壇が組まれ、中央には笑顔の遺影が飾られている(知人提供)


出入国在留管理庁の調査などによると、令和3年における日本国内の在留外国人は計約276万人。このうち犯罪に巻き込まれるのは毎年1万7千人前後で全体の1割にも満たないが、在留外国人は増加傾向にあり、外国人支援のニーズは高まるとみられる。

外国人犯罪に詳しい近畿大の辻本典央教授は「在留外国人はコミュニティーが強固で閉鎖的でもあり、犯罪の被害者・加害者ともに潜在化しやすい。公的な支援につながるよう在留外国人が声を上げやすい環境作りが大切だ」と述べる。

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