日本が近代国家の道を歩み始めた明治維新以降、「南進論」と「北進論」が交互に、あるいは同時期に主張・展開され、ときに熱気を帯び、終戦まで続く。ここでは海軍(南進)、陸軍(北進)といった軍事的な意味だけでなく、野心や夢や志(こころざし)を伴った日本人の南・北への関心や関与という意味で使う。
「南」は台湾からフィリピン▽仏印(インドシナ)▽マレー半島▽南洋群島▽蘭印(現インドネシア)▽オセアニアなど。「北」は朝鮮半島から満州・関東州(ともに現中国東北部)▽北支那(同中国)▽樺太・千島▽シベリアを望む地域―を指すことが多い。
日本人が、南、北を目指す目的は大きく3つあったろう。