〈独自〉紀州のドン・ファン事件、元妻のスマホに説明と矛盾の記録 死亡直前に接触か

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助さん
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた野崎幸助さん

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=が4年前の平成30年5月、急性覚醒剤中毒で死亡した事件で、殺人などの罪で逮捕、起訴された元妻の須藤早貴被告(26)が、自宅2階にいた野崎さんが死亡する直前に、単独で接触していた疑いのあることが26日、捜査関係者への取材で分かった。スマートフォンアプリの解析で判明した。

被告は逮捕前の任意の取り調べで2階との行き来を否定していたが、和歌山県警は供述と矛盾する解析結果を重要な証拠と捉え、逮捕に踏み切っていた。

28日で逮捕から1年。被告は逮捕後に黙秘に転じたとみられ、動機の詳細は不明のまま。和歌山地裁で公判前整理手続きが続いており、初公判の期日は決まっていない。

事件が起きたのは30年5月24日。県警などの調べではこの日、野崎さん宅に野崎さんと須藤被告、家政婦の3人がいたが、家政婦は夕食を準備して午後3~4時ごろに外出。2人きりとなった。約4時間後の午後7~8時ごろに家政婦が帰宅。午後10時半ごろ、須藤被告と家政婦が、2階寝室のソファで倒れていた野崎さんを発見し、119番した。死亡推定時刻は、家政婦帰宅後の午後9時ごろだった。

捜査関係者によると、資産家だった野崎さんは、事件前に離婚を切り出したとされる。県警は、不満を抱いた須藤被告が、2人きりの時間帯に致死量の覚醒剤を口から摂取させ、殺害したとの疑いで捜査。ただ直接的な証拠が乏しく、任意の事情聴取でも関与を否定され、捜査は難航した。

膠着(こうちゃく)状態を破ったのは、須藤被告が提出に応じたスマホの解析記録だった。

須藤被告は任意段階で、夕食後に野崎さんが1階から2階へと上がり、倒れた状態で見つかるまでの間に「2階に上がっていない」と供述。ところがスマホの健康管理アプリには、供述と矛盾する形で、被告が1階と2階との間を行き来した記録が残されていた。

また事件前、田辺市内で覚醒剤の密売人と接触したことや、殺害する方法をスマホで調べていたことも確認。

県警は、供述内容の矛盾や密売人と接触した事実を状況証拠の柱に据え、事件から3年近くたった昨年4月28日に逮捕。和歌山地検が同5月19日、殺人と覚醒剤取締法違反の罪で起訴した。

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