主張

マクロン氏再選 対露制裁で指導力発揮を

再選を果たしたマクロン仏大統領 (ロイター)
再選を果たしたマクロン仏大統領 (ロイター)

ウクライナへの攻撃を強めるロシアに対し、西側諸国の結束がひとまず維持されそうだ。

フランス大統領選は中道の現職マクロン大統領が、極右「国民戦線」を率いるルペン党首を破り再選を決めた。

北大西洋条約機構(NATO)の軍事機構からの脱退を唱え、ロシアへの制裁強化に反対したルペン氏に対し、マクロン氏は欧州連合(EU)の結束を目指し、対ロシアでNATOを中心とした国際協調を重視する姿勢を示していた。

マクロン氏の再選は、フランス国民がロシアへの経済制裁による物価高騰という痛みを覚悟し、侵略戦争をやめさせるため対露強硬策を選択したことを意味する。

バイデン米大統領はマクロン氏の再選を受け「フランスは最も古い同盟国だ」と述べ、ウクライナのゼレンスキー大統領はツイッターへの投稿で、マクロン氏を「真の友人」と呼んで経済、軍事面での支援に期待感を示した。

ロシアによる暴挙を止めさせるには、西側諸国を中心とした国際的な連携強化が不可欠だ。フランスは国連安全保障理事会の常任理事国で先進7カ国(G7)のメンバーでもある。ロシアにエネルギーを大幅に依存するドイツに代わり、存在感を高めつつある。欧州の牽引役として日米両国などと連携し、ロシアへの制裁で共同歩調をとる役割を期待したい。

マクロン氏はトランプ米政権時代に「NATOは脳死」と不要論を唱え、欧州軍創設を掲げた。だが、ロシアによる侵略では、NATOの枠組みを活かして欧米各国と共にロシアに経済制裁を発動した。石油や石炭禁輸も実施する方向だ。この動きを歓迎したい。

内政手腕も問われる。ルペン氏が得票を伸ばしたのは、物価高騰抑制策を訴え、マクロン氏に不信感を抱く地方の低所得者層の受け皿になったためだ。

マクロン氏が再選後、「極右に投票した人々の怒りに対する答えを見いださなければならない」と述べたのは、自身の政権に抗議した2018年の黄色いベスト運動への反省に立ったものだろう。

フランスはインド太平洋に海外領土を持つ太平洋国家でもあり、日本を戦略上の「パートナー国」と位置づけている。この地域で中国が影響力を強める中、日仏両国の政治的、軍事的な協力関係の深化が期待される。

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