「言論の自由」担い手ツイッターに厳しい目 風雲児マスク氏、問われる手腕

25日、米サンフランシスコにあるツイッター本社の外観(AP=共同)
25日、米サンフランシスコにあるツイッター本社の外観(AP=共同)

【ワシントン=塩原永久】米電気自動車(EV)大手テスラを一代で巨大企業に育てた同社最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が、米短文投稿サイトのツイッターを買収する。希代の風雲児による異業種の買収劇は、金融界の話題をさらっている。だが今後は、「言論の自由」の担い手でもあるツイッターで、マスク氏による運営手腕が厳しく問われる。

ツイッターや米交流サイト(SNS)大手メタ(旧フェイスブック)をめぐっては、不適切な投稿削除などの運営方針が不透明だとの根強い批判がある。

米大統領選の不正を訴えた共和党のトランプ前大統領は、アカウントを永久凍結された。「言論の自由」を標榜(ひょうぼう)するマスク氏が買収すれば、凍結が解除されるとの観測もあったが、トランプ氏は25日、米メディアで、買収後もツイッターに「戻らない」と語った。

民主党のバイデン米大統領も、SNS企業が投稿をめぐる運営方針で免責される制度などの「抜本改革を強く支持している」(サキ大統領報道官)。マスク氏は買収により、保守、革新勢力の政治問題に発展した情報プラットフォーム(基盤)の論争に否が応でも足を踏み入れることになる。

マスク氏は25日、声明を出し、ツイッター上の「言論の自由」確保と並び、機能改善に意欲を示した。具体策はみえないが、目を引くのは「信頼を高めるためアルゴリズム(計算手法)をオープンソースにする」と指摘した点だ。

ツイッターやフェイスブックは独自のアルゴリズムを開発し、利用者の趣向に沿って投稿を表示する。ただ、広告収入に結びつけようと過激な内容が表示されやすい欠点が指摘され、各社が非公開としてきたアルゴリズムの仕組みを問題視する見方があった。

アルゴリズムを公開するマスク氏の意向は、こうした批判を受けたものとみられ、実現すれば巨大IT企業の「秘密主義」に風穴を空けるものになる。

一方、マスク氏は物議を醸す発言で知られ、以前、ツイッターでテスラ株を非公開化するとつぶやき、米証券当局から「投資家を欺いた」と提訴された。こうした経緯を踏まえ、一部ツイッター社員がマスク氏の買収に関連し、「ばかげている」などと不安を訴える声を投稿している。

世界一の富豪が乗り出した買収が、人々の情報基盤となったツイッターの運営にどんな影響を与えるのか目を光らせる必要がある。

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