サンライト帳

ほどよい距離感

新宮霊園に誕生した「古墳型永久墓」(新宮霊園提供)
新宮霊園に誕生した「古墳型永久墓」(新宮霊園提供)

「不即不離(ふそくふり)」-。もとは仏教用語のようだが、つかず離れずの「ほどよい距離や関係」を意味する。この「ほどよさ」を、自らの死後の住処(すみか)で求める人が増えつつあるという▼歌手の長渕剛さんが歌うテレビCMで知られる「新宮霊園」に誕生した前方後円墳型の墓。その形状に目がいきがちだが、相次ぐ来園者からは死後への思いの「当世」が垣間見える▼「両親と娘さん夫婦が一緒に申し込みをされたケースがありました」(営業担当)。30センチ四方の埋葬スペースを4区画、墓石のない「隣り合う個室墓」の選択は、少子高齢化や不測の時代が生む将来不安を和らげる1つの答えなのだろう。と同時に、死後にも「ほどよい距離」を求める意識が存在するようだ▼物理的にも精神的にも人と人の距離のあり方を問いかけるコロナ禍。関係性の理想と現実のはざまの不即不離を求め、「ほどよさ」を希求する行動は広がっていくのではないか。古墳の形の墓への関心の高さは、それを示唆しているように思えた。(植野伸治)

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