次の100年へ パーパス経営を加速 SDGs視点の事業展開を実装 タカラベルモント

2021年10月に創業100周年を迎えた理美容機器や化粧品、医療クリニックの設備機器製造販売を手掛けるタカラベルモント(大阪市中央区)は、次の100年に向けてパーパス(企業目的)「美しい人生を、かなえよう。」を新たに制定した。パーパス経営のさらなる実装に向けて、社会課題に向き合い、SDGs(持続可能な開発目標)の視点を取り入れたモノづくりや事業展開を加速させている。同社が進めている3つのプロジェクトについて、各担当者の話を交えて紹介する。

“また子どもを産みたい”と思う環境を整備

ウィメンズヘルスケアプロジェクトの新しいブランドについて語る朝倉衣世さん
ウィメンズヘルスケアプロジェクトの新しいブランドについて語る朝倉衣世さん

一つ目は、産前産後の女性を支援するウィメンズヘルスケアプロジェクト。タカラベルモントが分娩台などの産婦人科向けの機器や化粧品を開発してきた技術と経験を活かし、女性一人ひとりの悩みに寄り添う商品の開発や、お産環境の整備に取り組んでいる。

同プロジェクトはイス型内診台や分娩台などの開発を担うメディカル事業部に所属する女性社員の自発的な提案から始まった。「産前・産後の女性をサポートしたい」という真摯な思いへの賛同の輪が広がったことを受けて、創業100周年の主要プロジェクトとして令和元年10月から本格的な活動を始めた。

お産の現場を担う産婦人科医や助産師をはじめとする医療関係者、デザイナー、クリエイターら異業種との協業を幅広く推進。出産前の女性の不安を取り除き、心地よくお産に臨むことができる医療機器の開発や空間のデザイン、医療関係者の負担を軽減する取り組みを進めている。

プロジェクトから生まれたのが、令和3年4月に販売を開始した出産前後の女性向けヘアケア、ボディケアの新ブランド「m.i」だ。シャンプー、ヘアトリートメント、ボディソープで構成し、植物由来成分を配合するなど出産前後に起こる女性の心と体の変化に配慮している。

メディカル事業部マーケティング部の朝倉衣世さん
メディカル事業部マーケティング部の朝倉衣世さん

プロジェクトへの思いについてメディカル事業部マーケティング部の朝倉衣世さんは「妊娠したことによって生じる心や体の変化に悩み、不安を感じる女性に寄り添い、『また子どもを産みたい』と思ってもらえる環境を作っていきたい」と話している。

合成皮革の裁断端材に新しい価値を付加

「Re:bonis(リボニス)」プロジェクトで活用する素材を手に取る松島紀善生産企画室長
「Re:bonis(リボニス)」プロジェクトで活用する素材を手に取る松島紀善生産企画室長

次に紹介するのが、合成皮革の裁断端材を有効活用する「Re:bonis(リボニス)」プロジェクトだ。理美容室や歯科医院などで使うイスを生産するタカラベルモントは活動の第1弾として、デザイン性に優れたネームホルダーを作成して社員に配布し、SDGs(持続可能な開発目標)への意識向上につなげる一方、教育機関などとの連携にも力を入れている。

理美容室や歯科医院向けのイスに使用する合成皮革は、業務用にふさわしい本革さながらの質感と柔らかさ、耐薬品性を備え、汚れも取りやすい。無駄なく使用するためにレイアウトの検討を重ねた上で裁断を行なうが、それでも取りしろの関係上、2割程度は端材が生じ、その量は年間26トンにのぼるという。

生産企画室長の松島紀善さん
生産企画室長の松島紀善さん

「素晴らしい素材なのでリサイクルではもったいないと思い、新しい価値を加えて『アップサイクル』できないかと考えました」と松島紀善生産企画室長は話す。

ものづくりメンバーを中心に、再生(reborn)とイスを掛け合わせてリボニスと名付けて昨年6月に活動をスタート。大阪市内に工房を持つ本革加工の職人集団と連携して色彩や質感、模様が異なる140種類の合成皮革の端材を使い、3000個のネームホルダーを制作して社員に配布した。

11月には大阪市立中学校の生徒がSDGsをテーマにした課外学習で大阪工場を訪問。教育機関などから提携の話も持ち掛けられている。「ものづくりに必要な創造性を育てる芸術分野の授業時間が削減されていることに危機感を持っています。それだけに若者たちがSDGsの意識を育み、ものづくりに関心を持つきっかけにしてくれたらうれしいですね」と松島室長。大阪工場は鋳物づくりから事業を拡大した同社の創業の地にある。「リボニス」は100年以上にわたって培ってきたものづくりの精神を次世代に伝える取り組みでもある。

水資源を守り、美の追求と環境配慮を両立

環境配慮型の製品開発に取り組む化粧品研究開発部の吉田直史さん
環境配慮型の製品開発に取り組む化粧品研究開発部の吉田直史さん

最後に紹介するのが水資源を守る取り組みだ。SDGs(持続可能な開発目標)に対応する企業の動きが加速する中、理美容室向けの化粧品事業を手掛けるタカラベルモントが、界面活性剤を大幅に削減した環境配慮型のヘアケアシリーズ「ルベル ワン」を昨年10月から世界展開している。500回以上の試作を通じて生み出したシャンプーなど10種類の製品には「水資源を守りたい」という強い思いが投影されている。

ルベル ワンの開発は、滋賀県湖南市の化粧品研究開発センターで平成29年春からスタートした。世界展開を視野に入れたからこそ、シャンプーに必須だが水資源への負荷になる界面活性剤の30%削減を必達目標にした。

削減しても泡立ちや洗浄力は顧客の理美容師に満足してもらわなければならない。開発チームは、20種類以上の界面活性剤の多様な組み合わせを4年以上研究。その結果、納豆菌の発酵によって得られるサーファクチンをベースに開発し、処方の調整をすれば、使用量を減らしても十分な泡立ちが実現できることを発見した。

化粧品研究開発部の研究員、吉田直史さんは「美の追求と環境配慮を両立した製品を送り出すことは理美容に関わる企業の社会的使命と思っています」と話す。

短時間で洗い流すことが可能で、従来のヘアケア製品との比較で年間500㍉㍑ペットボトル950万本相当の節水(※)が見込めるという。

化粧品研究開発部の吉田直史さん
化粧品研究開発部の吉田直史さん

水資源を守る同社の挑戦はこれからも続く。「水資源が乏しい場所でも水なしで使用できるドライシャンプーの開発も手掛けたい」と吉田さんは先を見据えている。

※導入全店での業務使用における試算

提供:タカラベルモント株式会社

会員限定記事会員サービス詳細