岸田文雄首相は25日、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期大統領が派遣した「政策協議代表団」と26日に首相官邸で面会する方向で検討に入った。複数の政府関係者が明らかにした。尹氏の日韓関係改善に向けた意欲を評価するとともに、いわゆる徴用工や慰安婦問題で国際法違反の状態を解消するよう促す狙いもある。
林芳正外相は25日、外務省で代表団と面会し、日韓関係改善に向け協力する方針で一致した。関係者によると、林氏は徴用工や慰安婦問題で対応を求めた。面会後、代表団団長の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会副議長は記者団に「対日関係を最も良かった時期のように戻さなければならない」と強調した。
鄭氏はまた、「自由民主主義、市場経済という価値を共有しながら協力強化できることで一致した」と説明した。5月10日の尹氏の大統領就任式への首相の出席については「首脳がいらっしゃるのであれば十分な誠意をもっておもてなししたい」と述べた。
林氏とは別に外務省の森健良事務次官も代表団と面会した。代表団は萩生田光一経済産業相、岸信夫防衛相も訪問。林氏は25日夜に都内で代表団を迎えて夕食会を開催した。超党派の日韓議員連盟(会長・額賀福志郎元財務相)も東京都内のホテルで会談した。
一方、岸氏は防衛省で代表団と会談し、平成30年の韓国海軍による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題に言及。「懸案の解決のため次期政権がリーダーシップを発揮することを期待する」と述べた。
代表団には鄭氏のほか、韓日議連幹事長の金碩基(キム・ソッキ)議員らが参加した。28日までの滞在期間中に安倍晋三元首相や菅義偉前首相ら政財界要人との会談を予定している。韓国側は岸田首相に宛てた尹氏の親書を持参しており、首相との面会も希望していた。