主張

露侵略と途上国 苦境にも結束し対処せよ

経済危機に陥ったスリランカのコロンボで12日、ラジャパクサ大統領に抗議するデモの参加者ら (ロイター)
経済危機に陥ったスリランカのコロンボで12日、ラジャパクサ大統領に抗議するデモの参加者ら (ロイター)

ロシアのウクライナ侵略がエネルギーや食料の価格上昇を招き、世界を揺さぶっている。一部の新興国や途上国では政情不安に発展しており、看過できない。

石油や天然ガスは、ロシアの主要輸出品だ。ウクライナとの両国は世界有数の小麦など穀物の輸出国でもある。戦争の長期化は日本を含む、世界各国の物価全体を押し上げた。

あおりを受けたのは、脆弱(ぜいじゃく)な経済と貧しい人々である。国際社会はロシアへの圧力だけでなく、苦境にある人々の暮らしを守るために結束すべきだ。

インド洋の島国スリランカは、外貨不足で事実上の債務不履行に陥った。物価高や停電などに不満を募らせた住民による抗議行動が相次ぎ、大統領官邸が襲撃を受けた。デモ隊に警察が発砲し、死傷者が出る事態に発展している。

スリランカは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に潜む「債務の罠(わな)」に陥った典型例だ。インフラ整備を理由に多額の資金を借り、財政が悪化した。2017年には、南部ハンバントタ港の運営権を99年間、中国に貸与することを余儀なくされた。

新型コロナウイルスの世界的流行で外国人観光客が激減して外貨収入源が損なわれ、そこへ、ウクライナ危機に見舞われた。

同じ南アジアのパキスタンも、中国頼みの「債務の罠」と、新型ウイルスの流行、ウクライナ危機の「三重苦」に直面し、手立てを欠いたカーン首相が失職に追い込まれた。核を持つ同国の不安定化は、国際社会にとって大きな懸念材料だ。

国連によると、食料、エネルギー、金融市場の混乱により、107カ国17億人が深刻な打撃を受けた。アフリカは小麦輸入の半分をロシアとウクライナに頼るなど、食料不安が深刻化している。

ロシアは、世界的な食料不足は、米欧の制裁のせいと批判するが、それはおかしい。露軍の激しい攻撃下にあるウクライナではそもそも、農業自体が不可能だ。

最も有効な解決策は、露軍の撤退であり、国際社会はそのため、全力を挙げるべきだ。

同時に、状況がこれ以上悪化しないよう、先進7カ国(G7)の枠組みなどで知恵を絞り、行動する必要がある。「債務の罠」から逃れるための方策を練るよい機会としたい。

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