卒業生名簿は「支持者リスト」? 公選法の線引き曖昧、公判で焦点に

昨年10月の衆院選を巡り、日本維新の会の前川清成(きよしげ)衆院議員(59)=比例近畿=が公示前に自身への投票を呼びかける文書を郵送したとして、公職選挙法違反(事前運動など)の罪で在宅起訴された事件の公判。公示前の選挙はがきの送付は、公選法で禁じられた事前運動か、それとも合法的な準備行為か-。送り先が選挙の手伝いを期待できる特定の支持者だったといえるかどうかが焦点となる。

選挙はがきは、候補者の写真や政策を印字したもので、選挙中に有権者への配布が認められている。しかし公示後に一から宛名を書いていては、間に合わないおそれもある。このため各陣営が後援会名簿などをもとに事前に支持者に宛名書き依頼をすることは実務上は一般的に行われている。

前川被告の事件でポイントとなるのは、依頼に使われたのが支持者の名簿ではなく、母校の卒業生名簿だったことだ。選挙実務に詳しい政党関係者は、党員や推薦団体などに対して宛名書きを依頼することはあるが、「不特定多数への投票依頼とみなされるため、卒業生名簿は絶対に使わない」と明かす。

一方で別の政党のある議員は、卒業生名簿がベースであっても、個々人との関係性を精査して絞り込んでいれば「『支持者リスト』といえるのでは」との見解を示した。

日本大の岩井奉信(ともあき)名誉教授(政治学)は、後援会への入会届などをもとに作成する支持者名簿に対し、卒業生名簿は「不特定多数」とみなされる「微妙なゾーンだ」と指摘。「検察側は立候補の準備行為でどこまでやっていいのか、判例を取り、白黒はっきりさせたい思いがあるのかもしれない」と分析した。

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