ビブリオエッセー

大好きな詩で私のリハビリ 「隂山メソッド 徹底反復 音読プリント」隂山英男(小学館)

かつて孫がお世話になった隂山先生の徹底反復シリーズ。そのうちの『徹底反復 音読プリント』に、まさか80歳を超えた私がお世話になるとは思いもしなかった。

数年前から「顎関節(がくかんせつ)症」と言われ、口をあまり大きく開けることができずに困っている。そんなことを施設のお友達に話したら、ご自分が大切にされていたこの本をすぐに貸してくださった。その方はまた違った理由で口が開けにくいので、この本を毎日、音読されていた。親身になっていただいたことが、嬉しかった。

本を開けると「音読名人になるコツ」として「毎日、10分続けよう」などとあり、「お口の準備運動」から始まる。まず北原白秋の詩「五十音」の「水馬(あめんぼ)赤いな ア イ ウ エ オ/浮藻(うきも)に小えびもおよいでる…」。

それから草野心平、金子みすゞ、高村光太郎、宮沢賢治…と私の好きな詩人の詩や作家の文章が次々と出てきた。大きな文字で書かれていて、とても読みやすく、昔を思い出しながら、夢中でページをめくった。

特に賢治の「雨ニモマケズ」と光太郎の「道程」は小学生の頃、弟たちと何度も大声で音読した詩だ。「雨ニモマケズ/風ニモマケズ」「父よ/僕を一人立ちにさせた広大な父よ」と学校で教わった詩を、弟たちに得意げに教えたのだろうか。ついこの間のことのように懐かしく思い出した。それから私は毎朝、口が開けにくいことも忘れ、音読している。なんと最後は「外郎売(ういろううり)のせりふ」まで付いていた。

この本で音読を続けていると口を開けたり、喋ったりすることが幾分スムーズにできるようになった気がした。そして、どうだろう、頭の回転も速くなってきたような気がする。これは気のせいだろうか?

大阪府羽曳野市 別所昭子(82)

投稿はペンネーム可。650字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556―8661 産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本、漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

会員限定記事会員サービス詳細