主張

補正予算編成 選挙の思惑が露骨すぎる

自民、公明両党が令和4年度補正予算案を編成し、今国会で成立させる方針で合意した。

物価高騰を受けて政府が近く策定する緊急対策の財源には、当初予算に含まれる予備費の一部を充て、これを穴埋めする名目などで補正も編成するのだという。

回りくどくて分かりにくく、さまざまな問題をはらんだ合意だといわざるを得ない。

当初予算の予備費で対応できるなら、それで済ませればいい。補正で穴埋めしてまで予算を膨らませる必要はないはずだ。

そうしなかったのは、夏の参院選に向けて、歳出を積み増す補正の成立という実績を望んだ公明に自民が配慮したからだという。これでは、真に必要な歳出を手当てするというよりも、政治の思惑が露骨にすぎるのではないか。

緊急対策の財源をめぐっては、予備費活用の妥当性についても疑問視する声がある。予備費5・5兆円のうち5兆円は新型コロナウイルス対策に充てることになっているためで、物価高騰対策とは使途が違うという指摘だ。

国会審議を経ずに政府判断で支出できるのが予備費である。ロシアのウクライナ侵略という不測の事態に対応した物価高騰対策に予備費を充てるのはうなずける。

ただし、使途を加える以上、国会審議の場を設けるのが筋だ。補正編成に伴い国会では予算委員会が開かれる。ここで与野党が議論を尽くすべきは当然である。

そもそも自公両党の調整が難航したのは、予備費の対応のみで十分と判断した自民と、補正の編成が必要とする公明の主張が全く折り合わなかったためである。

公明の山口那津男代表は「夏の参院選前後の政治空白で不測の事態が起きれば、政治の責任になり得る」として補正の必要性を訴えたが、これはおかしい。政治空白に備えて補正を組むという理屈が通るなら、選挙のたびに予算措置を講じなくてはならなくなる。

一方の自民は、補正審議で野党から政権運営の追及を受けて参院選のマイナスになることを恐れたようだ。だが、使途を広げて予備費を使うのに国会審議は避けたいというのでは虫がよすぎる。

そんな中で決着したのが今回の妥協案である。その妥当性はどれほどあるか。合意を踏まえて対応する岸田文雄首相にも、丁寧な説明責任が求められる。

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