日本の中国に対する政府開発援助(ODA)が3月末、約42年間の歴史に幕を下ろした。3兆6000億円超を投じて中国の近代化に貢献したが、今や世界2位の経済大国となった中国は軍拡を進め、南シナ海の島々の軍事化を強行。期待された民主化も進まず、多額の金額に見合う〝成果〟があったとはいいがたい。
最後の援助は「日本語教育」だった。国際協力機構(JICA)青年海外協力隊員の2人が約2年間、江蘇、貴州省の高校で日本語を指導し、3月までに任期が終了した。ODAによって生まれた人的交流は、悪化しがちな日中関係を下支えしてきた。
対中ODAは1979年に始まった。78年に改革開放路線にかじを切った中国を当時の大平正芳首相が訪問し、「より豊かな中国の出現がより良き世界につながる」と援助を決定。中国が戦後賠償を放棄した「見返り」の性格もあった。