ウクライナ侵攻で、同国のゼレンスキー大統領は23日、記者会見を行い、ロシアが占領した南部ヘルソンで「ヘルソン人民共和国」を設立するための「住民投票」を計画しているとした上で、住民投票を実施した場合は停戦交渉を停止すると述べた。露軍は同日、南部オデッサをミサイル攻撃。ウクライナ側は子供を含む民間人8人が死亡したと発表した。露軍は東部にも激しい攻撃を続けた。
ゼレンスキー氏は会見で、ロシアがヘルソンをウクライナから「独立」させる住民投票や、東部マリウポリの製鉄所に籠城するウクライナ部隊の掃討に踏み切った場合、「停戦交渉から撤退する」と表明した。同国メディアが伝えた。
ヘルソンは侵攻開始直後に露軍が占領。3月中旬に地元議員が「ロシアが住民投票を計画している」と告発していた。ウクライナ国防省も今月22日、ロシアが住民投票を準備していると発表。住民投票は4月下旬にも行われる恐れがある。
ヘルソンはロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島の付け根に位置し、併合前はクリミアに水を供給してきた。併合後、クリミアでは水不足が深刻化。ロシア側は現時点で住民投票に言及していないが、ヘルソンを親露地域として「独立」させ、占領の永続化とクリミアの実効支配の強化を企図している可能性がある。
23日のオデッサへのミサイル攻撃に関し、ウクライナ側は高層住宅に着弾し、生後3カ月の赤ちゃんを含む8人が死亡、18人が負傷したと発表した。一方、露国防省は、米欧からウクライナに供与された装備品が集積されていた軍事施設への攻撃だと主張した。ドネツク州など東部でも複数のウクライナ軍の弾薬庫や兵器を破壊したとした。