高まるコスト転嫁の圧力 今後1年で4割の企業が値上げ予定

家計を直撃している商品の値上げがさらに広がる恐れが強まっている。円安進行による原材料の輸入コストの増加などで企業間の取引価格の動向を示す企業物価指数が大きく上昇する一方、消費者物価指数の上昇は比較的小幅にとどまっているためだ。上昇率の差の大きさはコストを販売価格に転嫁する圧力の高まりを示しており、調査会社の帝国データバンクによると4割超の企業が今後1年以内の値上げを予定している。

直近3月の企業物価指数の上昇率は前年同月比9・5%で、変動の大きい生鮮食品を除いた全国消費者物価指数の上昇率0・8%との差は8・7ポイント。両指数の上昇率の差は1月は9ポイント、2月は9・1ポイントで、年明け以降の相次ぐ値上げでわずかに縮小したものの、まだまだ格差は大きい。

帝国データが中小企業を含む全国1855社に調査したところ、32・7%が昨年10月から今年3月までに製品やサービスの値上げを既に実施していたが、来年3月までに値上げを予定している企業も43・2%に上った。値上げを実施したか1年以内にする予定とした企業の割合は64・7%に及ぶ。特に小麦など農産物の輸入価格の上昇の影響は大きく、「飲食料品・飼料製造」の業種では値上げを実施したか予定している割合は85・9%にも達した。

一般的にコスト負担の価格転嫁は消費者に近い「川下」の業界ほど遅くなる傾向にある。値上げが客離れにつながるリスクが高いためだ。実際、年初は食用油やしょうゆなど加工食品の値上げが相次いだが、4月に入ると長崎ちゃんぽん店を展開するリンガーハットや、「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋など飲食業界の値上げも目立ち始め、価格転嫁の波がより広がりつつある。

壱番屋の葛原守社長は、さらなる値上げは「できるだけ企業努力で抑えたい」と話しているが、新型コロナウイルス禍の経済再開が進む中、一部では人手不足による人件費負担の増加も指摘されている。帝国データバンクでは「値上げの動きは当面続くとみられる」と分析している。

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