京都府亀岡市の通学路で平成24年4月、集団登校中の児童らの列に無免許運転の軽乗用車が突っ込み、児童と保護者ら10人が死傷した事故は23日、発生から10年を迎えた。事故現場では遺族らが法要を営み、犠牲者を追悼した。
法要には遺族や関係者ら約50人が参列。読経の中、参列者は現場の献花台に花を手向け、発生時刻の午前8時ごろ、手を合わせた。
現場は、道幅が約6・5メートルと狭い一方で、混雑する国道9号の抜け道として多数の車が行き交う生活道路。先月には、妊娠中だった松村幸姫(ゆきひ)さん=当時(26)=を亡くした父、中江美則(よしのり)さん(58)が「子供たちを優しく見守り、運転手を厳しく監視してほしい」と防犯カメラを設置するなど、安全対策が進められている。
法要後、中江さんは「苦しい10年だったが周りに支えられた。それでももう一度、娘を抱きしめさせてほしいと今でも思う」と言葉を詰まらせた。
犠牲となった小学2年の小谷真緒ちゃん=同(7)=の父、真樹さん(39)は「毎年法要で手を合わせるたびに、時が戻ってほしいと思ってきた。真緒の苦しさを胸に刻み、子供たちが安全に通学できるよう社会に伝えたい」と語った。
事故は24年4月23日に発生。当時18歳だった無免許の元少年の居眠り運転の車が児童らの列に突っ込み、松村さんと女児2人が死亡、児童7人が重軽傷を負った。元少年は自動車運転過失致死傷罪などで起訴され、懲役5年以上9年以下の不定期刑が確定した。