韓国で5月10日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)新政権が発足するのを前に、早くも米韓関係と南北関係が動き始めた。米韓同盟の再建を最大の外交課題に掲げる尹氏は米国に政策協議代表団を派遣し、米韓合同軍事演習の正常化や日米豪印の枠組み「クアッド」への段階的な参加の意思などを伝えた。一方、北朝鮮は次期政権が対北強硬策に出るのは確実とみて、自国の「核保有」を強調、威嚇姿勢を強めている。朝鮮半島は米韓対中朝という冷戦以来の対決構図による緊張が高まりつつある。
尹次期大統領は、米韓関係を「包括的戦略同盟」に格上げする方針を掲げている。尹氏は2月に米外交誌フォーリン・アフェアーズに寄稿した論文で、「外交政策の中心軸を米韓同盟の強化とする」とした上で、「経済安保同盟を通じ、今日の多様な脅威に立ち向かうべきだ」と強調した。
また、尹氏はバイデン米政権が重視する日米豪印の枠組み「クアッド」についても前向きで、まずクアッド傘下のワクチンや気候変動などの作業部会に参加し、その後、段階的に加盟を模索したい考えを示してきた。