佐々木朗希の相棒 18歳の松川虎生は「愛されキャラ」

ロッテの高卒1年目捕手の松川(右)は大胆なリードと正確なキャッチングが持ち味。左は佐々木朗=4月3日、ゾゾ(田村亮介撮影)
ロッテの高卒1年目捕手の松川(右)は大胆なリードと正確なキャッチングが持ち味。左は佐々木朗=4月3日、ゾゾ(田村亮介撮影)

プロ野球ロッテの佐々木朗希(ろうき)投手が10日、千葉市のZOZOマリンスタジアムで行われたオリックス戦で史上16人目の完全試合を達成するなど驚異的な快投を続ける中、バッテリーを組む捕手の松川虎生(こう)にも注目が集まっている。高卒1年目の18歳とは思えない物おじしないプレーぶりに、佐々木朗も「18歳なのか18年目なのか」と驚きを隠さない。

周囲をうならせる捕球技術

昨秋のドラフト会議でロッテに1位指名された松川。同じくDeNAに1位指名された小園健太とバッテリーを組んだ市和歌山高時代、評価が高かったのは打撃だった。高校通算43本塁打。唯一の甲子園出場となった昨春の選抜大会でも2試合で4安打を放った。本人も「打てる捕手になりたい」と常々語っていた。

しかし現在、周囲をうならせているのは守りだ。佐々木朗の160キロを超える豪速球、150キロに迫るフォークボールを顔色ひとつ変えずに捕球する。完全試合から中6日で登板した17日の日本ハム戦(ZOZOマリンスタジアム)でも、2歳上の右腕をリード。終盤、疲労からかシュート回転するなど荒れ気味だったストレートにも対応し、8回パーフェクトの投球をしっかりアシストした。

完全試合の記念ボードを贈られ、笑顔でポーズをとるロッテの佐々木朗(左)と松川(田村亮介撮影)
完全試合の記念ボードを贈られ、笑顔でポーズをとるロッテの佐々木朗(左)と松川(田村亮介撮影)

中学、高校とバッテリーを組んだ小園は、150キロ台の速球にチェンジアップやカットボールなど多彩な変化球を操る本格派右腕。そうした環境下で培った捕球技術にさらに磨きをかけている。

リード面も高評価

リード面への評価もうなぎ上りだ。3月25日に行われた今季開幕の楽天戦(楽天生命パーク宮城)では、高卒新人で開幕マスクという史上3人目の快挙を果たし、3投手による継投での完封勝利に貢献。先発した石川から「調子自体はそんなに良くなかったが、松川にしっかりリードしてもらって抑えることができた。高卒新人じゃないみたい」と絶賛された。

松川の「捕手力」の高さにうなずくのは市和歌山高時代の恩師、半田真一監督。松川について「投手のいいところをしっかり見ることができる眼力がある」とした上で「ここ一番で力を発揮するタイプ。高いレベルでも対応していける」と指摘。小園も「誰に対しても優しい」と長年の相棒を評する。

目指すは「城島二世」

「みんなから愛される選手になりたい」と話す松川が大切にしているのは、周囲とのコミュニケーションだ。イニングの合間には投手との会話を欠かさない。身長178センチ、体重98キロというどっしりとした体格と愛嬌(あいきょう)のある笑顔も手伝い、「愛されキャラ」として投手の信頼を得ている。

松川を「虎生」と名付けたのは阪神ファンの祖父。生まれたのは2003年10月20日。星野仙一監督率いるタイガースが18年ぶりのリーグ優勝を果たし、ダイエー(現ソフトバンク)と日本シリーズを戦っている真っ最中だ。そのダイエーの主力打者だったのがロッテの井口資仁(ただひと)監督。そして松川が目標としている選手はダイエーの正捕手で、後に大リーグや阪神でも活躍した城島健司さん。いろいろと因縁めいたものを感じる。

松川を抜擢(ばってき)した井口監督は「リード面が思っていた以上にかなりいい。城島のようになれる選手」と高く期待する。

18歳のルーキーは「目標は城島さん。ほしいタイトルはホームラン王」ときっぱり。憧れの名捕手は、自身の生まれた年にMVPを獲得、さらにベストナイン6度、ゴールデングラブ賞を8度受賞した。ともに高校からドラフト1位でプロの世界に飛び込み、背番号「2」も共通する松川が、その背中を追う。

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