園長は獣医さん

主人公は動物 「ふれんどしっぷガーデン」リニューアル

動物と親しむ「ふれんどしっぷガーデン」(天王寺動物園提供)
動物と親しむ「ふれんどしっぷガーデン」(天王寺動物園提供)

木々の初々しい若葉が春の陽光に照らされて園内の花々も咲き誇り、気持ちの良い日が続いています。

27日、「ふれんどしっぷガーデン」がオープンします。現在の「ふれあい広場」が生まれ変わります。ヒツジやヤギ、ノマウマ、テンジクネズミなどの動物を敬い、動物の思いやりに触れ、命の大切さを学ぶ施設となります。

世界動物園水族館協会(WAZA)の「動物と来園者との相互交流ガイドライン」に準拠し、全ての動物の福祉が損なわれることがないようイベントにも配慮する施設となります。

これまでのふれあい広場では、園内で販売しているエサを自由に与えたり、動物の体に触れたりすることなどが楽しめましたが、これらを大幅に見直しました。コンセプトは「動物福祉」と「教育」です。

「みんなでつくる、あそびじかん」というイベントでは、有料となりますが、参加者はフィーダーと呼ばれる道具にエサをセットします。そして、動物たちが器用にフィーダーからエサを取って食べる様子をスタッフと観察し、動物の生態についてスタッフの解説とともに理解を深めます。

また、ウォークスルーエリアでは、動物と同じエリアに入って間近に動物を観察できます。動物が近づいてくれば触ることも可能ですが、動物が離れていけば、追わずに観察してもらうように促します。動物の側に選択肢を持たせます。動物が嫌がっている場合は取りやめることもあります。スタッフはイベントごとに動物をモニタリングし、どんなときに嫌がっているかなどを記録して、次に生かします。

動物へのエサやりや体に触れることなどは、来園者にとって大きな楽しみの一つだと思います。一方で、人間との接触でストレスを感じる動物もいます。

また、エサを自由にあげる方式だと健康管理ができないほか、人と動物の共通感染症の問題もあり、学びの機会もありません。

今回の運営方法は、職員たちで議論を重ねてたどり着きました。今後も改善を続けます。国内で同様の取り組みをしている施設は少なく、先進的な運営になると思っています。

動物福祉は、近年重視されている考え方です。WAZAは来年末までに加盟園館に対して動物福祉の審査をすることになっており、当園も対応が求められています。今回の試みもその一環です。

「ふれんどしっぷガーデン」は、天王寺動物園にとって久しぶりの新しい動物施設になります。来年以降も「ペンギン・アシカ舎」など新施設のオープンが続々と控えています。変革を続ける天王寺動物園に、ぜひ足を運んでください。(天王寺動物園園長(理事兼務) 獣医師 向井猛)

むかい・たけし 神奈川県藤沢市出身。北海道大大学院獣医学研究科修士課程修了後、札幌市の円山動物園で獣医や職員として勤務した。令和3年4月から天王寺動物園園長。漫画『動物のお医者さん』に「M山動物園の向田獣医」として登場した。

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