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『至誠の日本インテリジェンス 世界が称賛した帝国陸軍の奇跡』成果をあげた真心の諜報

『至誠の日本インテリジェンス 世界が称賛した帝国陸軍の奇跡』
『至誠の日本インテリジェンス 世界が称賛した帝国陸軍の奇跡』

『至誠の日本インテリジェンス 世界が称賛した帝国陸軍の奇跡』岡部伸著(ワニブックス・1650円)

今、世界中が最も注目している宇露戦争で、ウクライナがロシアの圧倒的な軍事力に対抗できている理由の一つは、米英の情報機関が提供するインテリジェンスにあるといわれています。日本でも、安全保障のための対外情報機関の充実が急務なのは言うまでもありません。

本書は、戦前の情報戦検証を目的として企画されました。著者は、英国立公文書館などに通いつめ、諜報活動の新事実を次々につまびらかにしている本紙論説委員・岡部伸氏。

3人の帝国陸軍の情報士官の偉業を紹介しています。ヤルタ密約をキャッチした小野寺信(まこと)少将、2万人のユダヤ人を救い、ソ連の侵攻から北海道を守った樋口季一郎中将。そして、インド人工作を担ったF機関を率いた藤原岩市中佐。彼らの共通点は〝至誠〟です。そして、小野寺少将が送ったソ連参戦情報が樋口中将に伝わり、ソ連の北海道侵攻を阻止した可能性に言及しています。

暗殺や裏切り、買収が日常の諜報の世界で、この3人はそれらとは無縁の驚くべき行動をとり続けます。戦時下でも仲間(協力者)を裏切らない、祖国を失った小国の人々の気持ちを理解して寄り添う、困っている人間(難民)は人種を問わず助ける―。まさにそれは「誠意や真心で接する諜報活動」でした。

その〝至誠〟が、各国の諜報機関が脱帽する情報をもたらし、世界が称賛する成果をあげたというのは実に痛快な話です。

(ワニブックス書籍編集部 川本悟史)

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