「熱気球の聖地」渡良瀬遊水地 ぷかり空中散歩

ぎりぎりまで高度を下げ、サクラを上から愛でる気球も=2日、渡良瀬遊水地(山沢義徳撮影)
ぎりぎりまで高度を下げ、サクラを上から愛でる気球も=2日、渡良瀬遊水地(山沢義徳撮影)

栃木、茨城、埼玉の3県にまたがる渡良瀬遊水地は「熱気球の聖地」だ。東西5キロ、南北10キロにわたって湿原が広がる地の利を生かし、多くのパイロットが腕を磨く。数々の国内大会を手がけてきた第一人者、町田耕造さん(68)=ジャパンバルーンサービス社長=は4月、ここで観光フライト事業を始めた。魅力を多くの人に知ってもらい「気球人口を増やしたい」という町田さんの案内で今月上旬、約45分間の体験試乗会に参加した。

本格的フライト

栃木県栃木市の渡良瀬遊水地ハートランド城に集合した後、スタッフのワゴン車に同乗して離陸地点へ。時刻は夜明け前の午前5時。陸風から海風へと入れ替わり、無風状態(朝なぎ)に近付く「日の出後の2、3時間」がフライトに最適な時間帯だそうだ。

向かった先の野原では、すでにいくつかの気球が膨らみ始めていた。「クラブを作って飛ばす愛好家が多いですね」と町田さん。1機約2千万円という価格もさることながら、風向きの測定などに人手も要するため、仲間の協力が欠かせない。

熱風を送り込んでバルーンを膨らませるスタッフ。ゴンドラは籐で頑丈に編まれている=2日朝、渡良瀬遊水地(山沢義徳撮影)
熱風を送り込んでバルーンを膨らませるスタッフ。ゴンドラは籐で頑丈に編まれている=2日朝、渡良瀬遊水地(山沢義徳撮影)

町田さんは気球歴50年。佐賀県や長野県などの大会をシリーズ化した「熱気球ホンダグランプリ」運営の中心人物だ。埼玉県の所沢航空公園で毎月、係留した気球の搭乗会を開いているが、渡良瀬遊水地では「より本格的な観光フライトで魅力を満喫してほしい」と意気込みを語る。

多くの熱気球が浮かんだ渡良瀬遊水地の空。細長いバルーンは、上下する際の空気抵抗が少ないレース用だ=2日朝(山沢義徳撮影)
多くの熱気球が浮かんだ渡良瀬遊水地の空。細長いバルーンは、上下する際の空気抵抗が少ないレース用だ=2日朝(山沢義徳撮影)

絶景がゆっくり動く

野原に広げたバルーンの口を送風機で広げ、家庭用ガスコンロの1千倍の火力というバーナーで熱気を少しずつ送り込む。バルーンが膨らみ、浮力のバランスが取れたら、トウ(籐)で頑丈に編まれた7人乗りのゴンドラへ。文字通り「ふわり」と浮き上がった。

地面がみるみる遠ざかり、街を見下ろす高さまで昇っていく。北を見れば日光・男体山へと連なる足尾山地。最高で1千メートルまで昇り、快晴なら富士山も見えるという。

会員限定記事会員サービス詳細