アップル、供給網の再生エネルギー化 国内でも投資増加

企業が自社工場で消費する電力を再生可能エネルギーに切り替えるための投資を進めている。米アップルが部品の供給企業に対して再生可能エネルギーを使うように求めるなど、国内メーカーからは「再エネ化しなければ選ばれない時代が来ている」という声も漏れる。中小企業も初期投資を抑えながら再エネ化を試みるなど、対応を急いでいる。

アップルの14日の発表によると、国内ではシャープなどの部品の供給企業29社が、納入する部品の生産に使う電力の再エネ化を約束。世界では計213社で昨年から約2倍に増えた。

アップルと取引のある村田製作所は令和3年11月に生産子会社の金津村田製作所(福井県あわら市)を同社として初めて100%再エネ化した。太陽光発電と蓄電池によるシステムを使い、工場全体の電力使用量の13%をまかない、残りは再エネ由来の電力を購入する。このほかフィリピンや仙台市の工場も相次いで再エネ化。6年度までに計画する2300億円の戦略投資のうち、3分の1程度を再エネ関連に充てる予定で、担当者は「再エネへの対応は必須になってきている」と強調する。

世界的な流れが強まる中、中小企業でも工場の再エネ化に踏み切る例が出始めている。機械部品を製造するマツモトプレシジョン(福島県喜多方市)は太陽光パネルを搭載した車庫「ソーラーカーポート」を本社工場に導入し、4年4月から本格運用を始めた。約2千枚の太陽光パネルで年間平均で工場で使用する電力の約20%をまかなう。

設置費用は約1億5千万円かかるが、タイのエネルギー大手の日本法人が負担した。同法人が初期費用と維持管理費を負担する代わりに、発電した電気をマツモトプレシジョンに販売して利益を得る。

使用電力を100%再エネ化した金津村田製作所(村田製作所提供)
使用電力を100%再エネ化した金津村田製作所(村田製作所提供)

マツモトプレシジョンの担当者は「中小には1億円を超える投資は簡単ではない」と明かす。初期投資を抑える仕組みを使って再エネ化を急ぐのは「再エネ化しなければ選ばれない時代がすぐそこまで来ている」からだ。

大手の間でも工場再エネ化の取り組みは加速する。パナソニックは4月、滋賀県草津市の工場で水素と太陽光による発電を活用し、使用する電力を100%再エネ化する実証実験を始めた。再エネ活用促進の国際枠組み「RE100」の達成を目指す。投資額は10億円以上と高額で、水素価格が高くつくため水素発電のコストは通常の電力購入時に比べて2倍以上という課題もあるが、担当者は「全国的に水素の普及が進めばコストは下がるはず」と今後の普及に期待をかける。

京都大大学院の安田陽特任教授(電力工学)は「企業の再エネ化のメリットは二酸化炭素の削減だけでなく、今後ますます価格が上昇する可能性が高い化石燃料の燃料費を抑制できることにもある。もはや『再エネは高い』という時代は終わり、化石燃料を使う方が高くつく時代に突入している」と指摘する。その上で「気候変動や大気汚染を緩和する再エネを使うことで、消費者に対しても製品の付加価値をアピールでき、投資家からの投資も受けやすくなる」と話している。(桑島浩任)

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