ロシア、23日も東部で攻撃 ブチャ、マリウポリで新たな被害発覚

キーウ近郊のブチャで、空地に集められたロシア軍の軍用車両の残骸など=22日、ウクライナ・ブチャ(桐原正道撮影)
キーウ近郊のブチャで、空地に集められたロシア軍の軍用車両の残骸など=22日、ウクライナ・ブチャ(桐原正道撮影)

【ニューヨーク=平田雄介、ロンドン=板東和正】国連は22日、グテレス事務総長がロシアのプーチン大統領と26日に、ウクライナのゼレンスキー大統領と28日にそれぞれ面会すると発表した。一方、露国防省は22日、14日に沈没を公表した露黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の乗組員1人が死亡、27人が行方不明になっていると公表した。露軍は23日もウクライナ東部や南部に激しい攻撃を続けた。

国連によると、グテレス氏は停戦の実現や人道支援について両大統領と協議する予定で、両国外相とも実務会談を行う。ウクライナの露軍に包囲された地域で民間人が退避できず、国連やパートナー組織が支援物資を届けられていない現状を改善できるかが焦点だ。

ただ、露軍は現在、制圧を目指すウクライナ東部を中心に攻勢を強めている。プーチン氏も目標の完遂まで作戦を継続する方針を示しており、ロシアが停戦などに応じる可能性は低い。

一方、露国防省は沈没した「モスクワ」の被害を初公表した。同省は当初、乗組員は避難したと主張したが、露独立系メディアなどが「乗り組んでいた息子と連絡がつかない」とする家族らの証言を報道。被害公表に踏み切らざるを得なくなったとみられる。同省は生存した乗組員396人は基地に帰還したとした。

露国防省やウクライナ軍の発表によると、23日もハリコフやドネツク、ルガンスクなど東部各州を中心に激しい戦闘が続いた。

ウクライナメディアによると、露軍による残虐行為が発覚した首都キーウ(キエフ)近郊ブチャの市長は同日、「現時点で412人の遺体が見つかった」と発表。露軍が制圧を宣言した東部マリウポリの市議会も同日、衛星写真のデータを基に、露軍に殺害された多数の市民が埋葬されたとみられる集団墓地が新たに見つかったと明らかにした。

ウクライナのベネディクトワ検事総長は22日までに英スカイニューズ・テレビのインタビューに応じ、同国内で民間人の殺害や性的暴行、子供のロシアへの強制移送など約8千件の戦争犯罪を捜査していると表明した。

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