世界ボクシング機構(WBO)ミニマム級タイトルマッチは22日、東京・後楽園ホールで行われ、28歳のチャンピオン、谷口将隆(ワタナベ)が石沢開(M・T)に11回2分29秒、TKO勝ちして初防衛に成功した。
リスクこそあれメリットは薄かった。前日計量で制限体重をオーバーし、挑戦者の資格を失った石沢との試合。谷口が対戦を拒めば無条件で王者でいられたが、戦って負ければベルトを失う。それでも28歳はリングに立ち、勝ち切った。
「いろいろあったけど、(前夜)ご飯食べたら『明日、頑張ろう』と。石沢選手は意図的に体重を落とさない人間じゃない。(気持ちの切り替えは)すぐ付いた。やるか、やられるか。相手の調子を気にせず勝つことだけ意識した」
序盤から石沢の強打を丁寧に外し、その打ち終わりに左ストレートなどをうまく返してペースを握った。勝負を決めたのは11回。相手の顔面を強烈な左で捉えてTKO勝ちした。本人は「最後まで余裕はなかった」と振り返るが、採点で相手に取られたのは3回のみ。完勝だったといえる。
試合を終えたリング上で石沢から「すみませんでした」と声を掛けられ、「これからは謝らなくていいよ」と返したという。
「今回はいい経験になった。全て経験に変えていければ一回り大きくなれるかな」。好漢のキャリアに見事、防衛回数「1」が刻まれた。(宝田将志)