露、早急な「制圧宣言」 侵攻継続の意思示す

21日、ロシア・モスクワのクレムリン(大統領府)で、ショイグ国防相(右)と会談するプーチン大統領(大統領府提供・タス=共同)
21日、ロシア・モスクワのクレムリン(大統領府)で、ショイグ国防相(右)と会談するプーチン大統領(大統領府提供・タス=共同)

ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領は、激戦が続いた東部マリウポリの制圧に成功したと宣言、「戦果」を誇示する一方、ウクライナ側部隊が籠城する製鉄所への突入を禁じた。プーチン氏は理由を「将兵の損失を避けるため」と説明。損害拡大と兵力不足が指摘される露軍の実情を暗に認めた形だ。同時にプーチン氏の発言は、マリウポリ掌握後も侵攻を継続する意思を示したものだと分析されている。

プーチン氏と21日に会談したショイグ国防相は、製鉄所を除きマリウポリ全域を制圧したと報告。製鉄所には約2000人の守備隊が残っているとし、「掃討に3、4日を要する」と説明した。露軍の損害には言及しなかった。

プーチン氏は「マリウポリ解放作戦は完了した。成功だった」と評価。一方で「現在は平時以上に将兵の生命を考慮しなければならない」と述べた。

ロシアは詳細な自軍の損害を公表していないが、ウクライナは露軍2万人以上が戦死したと発表。米国防総省も露戦力は侵攻開始時点から75%まで低下したと分析している。プーチン氏はマリウポリでの損害拡大は政権基盤を揺るがすと考えている可能性がある。

損害の拡大や、補給問題で北部から撤退を余儀なくされたプーチン政権は現在、「戦果」を国内にアピールする必要に迫られている。早急ともいえるマリウポリ「制圧宣言」には、こうした政治的思惑があるとみられる。

ウクライナ大統領府のアレストビッチ顧問は「露軍は損害拡大で製鉄所の掌握を断念せざるを得なかった」と指摘。その上で、露軍はマリウポリに差し向けていた部隊を東部の各戦線に再配置するとの見通しを示した。

英国防省も22日、「プーチン氏の決定はウクライナの抵抗をマリウポリで封じ込める一方、損害拡大を回避し、他地域に送る兵力を確保するためだ」との分析を公表した。露軍が「主要目標」とする東部への攻勢を強化するとの見方を示したものだ。

「マリウポリ制圧」をアピールし、他戦線でのウクライナ圧迫をもくろむプーチン氏とショイグ氏の会談は、国営テレビで中継された。双方は密着状態で会話。2月27日の会談では、新型コロナウイルス対策もあり相当な距離を確保していた。プーチン氏は、一部欧米メディアなどが報じていた両氏の不仲説、ショイグ氏の健康不安説を一蹴し、軍トップである同氏への揺るぎない信頼感を示したものとみられる。

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