写真紀行・瀬戸内家族

長男、友人と自転車旅行へ

早いもので我が家の長男も四月で高校三年生になった。そこで今週の一枚は、彼が友人二人を誘って「しまなみ海道」をサイクリングした時の写真を選んだ。二月下旬、入学試験の日程に合わせて高校は数日間の休みがある。それを利用して尾道から今治まで自転車で往復することにしたのだ。

新型コロナの影響で入学式が中止になって以来、彼らの学校行事の多くはキャンセルや縮小を余儀なくされてきた。二年生の後半に予定されていた修学旅行も直前でついに中止が決まった。そこで代わりになるものを彼ら自身考えたのだろう。

スキーやディズニーランドに行くグループと並んで、長男が選んだのがしまなみ海道サイクリングだった。家族で昨春走った楽しさを、今度は友人たちと共有したいと思ったようだ。

東京を夜行バスで出発し、翌朝尾道で自転車を借りて因島まで走る。妻の実家に一泊したのち、六時前に起床して一路今治を目指してゆく。果たして東京の高校生の目に、瀬戸内はどのように映っただろう。

きっと思い出に残る素晴らしい体験になったのではないだろうか。今週の写真を眺めていると、そんな彼らの楽しげな声が聞こえてきそうだ。

小池英文(こいけ・ひでふみ)写真家。東京生まれ。米国高校卒後、インドや瀬戸内等の作品を発表。広島・因島を中心に撮影した写真集「瀬戸内家族」(冬青社)を出版。ウェブサイト「http://www.koike.asia/」

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