エステー、NEC…ペット市場に異業種 コロナ禍前より販売額11%増 参入相次ぐ

エステーが「エステーペット」ブランドで投入した猫用システムトイレ(エステー提供)
エステーが「エステーペット」ブランドで投入した猫用システムトイレ(エステー提供)

ペット関連の商品やサービスが注目されている。新型コロナウイルス禍により自宅で過ごす時間が長くなり、癒やしを求めてペットを飼う人が増えているためだ。関連市場は拡大しており、エステーやNECなど異業種大手の参入も相次ぐ。商機をにらんだ動きは地方の中小企業でも出てくるなど活発化している。

防虫剤や消臭剤を手掛けるエステーは今年2月、ペット用品ブランド「エステーペット」を立ち上げ、ペット事業に参入した。第1弾として、猫用システムトイレ「実感消臭シリーズ」を開発。本体のほか消臭チップ、消臭シートで構成され、ホームセンターなどで販売を始めた。

商品には、同社が国立研究開発法人の森林研究・整備機構(茨城県つくば市)と共同開発した空気浄化作用に優れる「機能性樹木抽出成分」を活用する。これは北海道産トドマツの間伐材から抽出するもので、中でも葉の部分を粉末状にした〝針葉粉体〟が猫の排泄(はいせつ)臭に高い消臭効果があることを突き止め採用した。チップやシートに加え、本体のプラスチックにも粉体を練り込んだ。

エステーが今年2月に実施した愛猫(あいびょう)家485人に対するインターネット調査では、「我慢していること」として全体の34.6%が「排泄臭」を挙げトップ。ペット関連市場では後発だが、「消臭関連技術を生かし、猫用以外の商品や品種の拡大も検討する。ペット事業の売り上げを令和9年には30億円程度にまで伸ばしたい」(広報担当者)としている。

NECが提供するサービス「ワネコ トーク」を使ってSNSでペットと疑似対話しているスマートフォンの画面(NEC提供)
NECが提供するサービス「ワネコ トーク」を使ってSNSでペットと疑似対話しているスマートフォンの画面(NEC提供)

一方、電機大手のNECは昨年3月、ペットの健康状態、既往歴、予防接種などの情報をネット上で管理し、ペットサロンや動物病院とも共有するサービス「ワネコ」を開始。同年12月にはペットと疑似対話もできるサービス「ワネコ トーク」も始めた。

NECの「ワネコ トーク」を使うためのセンサーを首輪に付けたイヌ(NEC提供)
NECの「ワネコ トーク」を使うためのセンサーを首輪に付けたイヌ(NEC提供)

「ワネコ トーク」は3軸加速度センサーと気圧センサーを備えた小型装置「プラスサイクル」をペットの首輪に装着。加速度センサーで動きと休息を、気圧センサーでジャンプの回数を測定する。収集した犬や猫の行動を人工知能(AI)で分析。飼い主が交流サイト(SNS)を通じてペットに問いかけると、行動に基づき「ねむい」「起きた」といったメッセージが届く仕組み。「将来的には蓄積データをペットの健康増進につなげたい」(広報担当者)という。9年にワネコへの登録ペット数を600万頭にまで増やしたい考えだ。

ペット関連市場には中小企業も注目する。葬儀会社のつばさ公益社(長野県佐久市)は今年3月から家族でペットの葬式を行うためのキット「DIY葬 for Pet」の販売を始めた。棺や布団、骨壺のほか、登録の抹消といった手続きや火葬施設の窓口の探し方などをまとめたハンドブックをセットにした。価格は通常の棺のサイズで1万9800円(税込み)。

これまでペット用は手掛けてこなかったが、問い合わせや要望が多かったことから商品化することにした。販売を始めたばかりだが、篠原憲文代表取締役は「コロナ禍で多くの人が集まる葬儀が控えられる中、ペット用は引き合いも多い」と話す。

経済産業省の「商業動態統計」によれば、ペット用品の多くを扱うホームセンターでのペットと同用品の販売額はコロナ禍になった令和2年以降大きく伸びた。3年は2846億円とコロナ禍前の元年と比べ11%増えた。「飲食料品小売業などとともに、コロナ禍で販売額が増加した少ない業種の一つだ」(同省経済解析室)という。(青山博美)

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