佐々木朗希「高さ」と「安定」が凄さの秘密

【プロ野球ロッテ対オリックス】先発のロッテ・佐々木朗希=10日、ZOZOマリンスタジアム(田村亮介撮影)
【プロ野球ロッテ対オリックス】先発のロッテ・佐々木朗希=10日、ZOZOマリンスタジアム(田村亮介撮影)

プロ野球史上16人目の完全試合を達成した10日のオリックス戦に続き、17日も日本ハム打線を8回パーフェクトに抑えたロッテの佐々木朗希(ろうき)投手(20)。次回は24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)に先発予定だ。〝令和の怪物〟の投球フォームについて、専門家は「通常より高いリリースポイント」に加え「下半身の安定」を特長に挙げる。

「投げる前に振るくらいの意識でいったが、詰まった」「フォークがめっちゃ落ちるし、真っすぐは差された」。対戦した打者は佐々木朗の投球をこう評した。野球のフォーム分析に詳しい筑波大の川村卓(たかし)准教授(野球コーチング論)は「リーチの長さを生かし、角度をつけて投げるのがうまい」と指摘する。

佐々木朗は、他の投手ならはるか上に球が抜けてしまうほどの高い位置で、ボールをリリースしている。バレーボールのスパイクのように「背中が反った状態から腕を戻して止め、そこからかなり下向きに投げるイメージ。背中の筋肉の使い方は天性のもの」。身長190センチから投げ下ろされたボールは、打者が見たことのない軌道を描く。

左足を高く上げる投球フォームを支える「下半身の安定感」も、今季は格段に増した。「左足を上げてから、右足一本で前に重心を移動させる際の姿勢が低く保てるようになった」と川村准教授。股関節が深く曲がり、投手板からしっかりと力をもらえるようにもなった。下半身のストレッチを含め、登板機会なしだったプロ1年目からぶれることなく地道に練習した成果が、3年目で開花した。

球数が増えると、疲労で右肘が下がり、シュート回転の球が増えてしまうのが今後の課題。まだ1シーズン通してプレーしたことがなく、川村准教授は「次の登板に向けてのコンディション作り」をポイントに挙げる。一方で「まだまだ体が成長していく時期」とし、慎重にバランス良く体作りを行う重要性を説く。

現在の最速は164キロ。川村准教授は「170キロは出せる能力があるだろう。ただ、本人が望むかどうかはわからないし、出す必要もない」と語る。佐々木朗自身も10日の快投を「脱力しながら投げることができた」と振り返るなど、元々球速にこだわりはない。「僕の中では打たれても別に、と思って投げていた」と、平常心を保ち続けられる精神面も彼のすごさだ。(神田さやか)

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