文氏「金氏と朝鮮半島の運命変える一歩」 親書公開

北朝鮮の金正恩労働党委員長(当時)と手を取り合い高く上げる韓国の文在寅大統領(右)=2018年4月(AP)
北朝鮮の金正恩労働党委員長(当時)と手を取り合い高く上げる韓国の文在寅大統領(右)=2018年4月(AP)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は22日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が20日に金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記に親書を送り、金氏も21日に返信したと報じた。南北首脳は、南北協力に向けた互いの努力と2018年に板門店(パンムンジョム)や平壌で発表した共同宣言を評価した上で「互いが希望を抱いて尽きることなく努力を傾けていけば、北南(南北)関係が民族の念願と期待に即して改善・発展する」との見解を共にしたとしている。

韓国大統領府も22日、親書の内容を公表し、文氏が「金氏と手を取って朝鮮半島の運命を変える確実な一歩を踏み出した」と書いたと明らかにした。5月9日の文氏の退任を前に「最後のあいさつ」との位置づけで、文氏は「対話再開は次の政権の役目となった」とし、米朝間や南北間の対話が早期に再開するよう望みを記した。「(18年の)宣言が統一の土台になるべきだ」とも強調した。

文氏にとって最も注力した南北対話の成果が、北朝鮮に強硬な姿勢を示す尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期政権で打ち消されることがないよう南北間合意の維持を迫る思惑とみられる。金氏にとっても、南北関係の改善は韓国側の態度次第だと尹次期政権にクギを刺す狙いがありそうだ。

ただ、金氏は今年3月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の再発射を強行するなど、核・ミサイル開発を加速。南北協力の象徴だった北朝鮮・金剛山(クムガンサン)の韓国側観光施設の撤去を進めている。南北対話も19年以降、滞っており、今回の親書交換は行動が伴わない言葉だけに終わる可能性がある。

首脳間の親書交換について朝鮮中央通信も大統領府も「深い信頼」の表れだと強調した。同通信によると、金氏は共同宣言が「全民族に未来への希望をもたらした」と振り返り、「任期最後まで民族の大義のために心を砕いた文氏の苦悩と労苦」を高く評価した。韓国側によると、金氏は宣言などについて「希望したところまでは至らなかった」としつつも「歴史的」で「消せない成果だ」と指摘。文氏に対しても「忘れない。退任後も変わらず尊敬する」と伝えたという。

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