広がる医療面の人道支援 日本人医師派遣や医療物資も

東部マリウポリやその周辺で負傷した患者らを西部リビウへ列車で運ぶスタッフら(国境なき医師団提供)
東部マリウポリやその周辺で負傷した患者らを西部リビウへ列車で運ぶスタッフら(国境なき医師団提供)

ロシアによる侵攻で国内外に避難しているウクライナ人を医療面で支援しようと、国際ボランティア組織が活動している。岡山市に本部を置く国際医療ボランティア団体「AMDA(アムダ)」はNPO法人「TICO(ティコ)」(徳島県)と連携し、医師や看護師らを2週間ごとにハンガリーに派遣。国際医療援助団体「国境なき医師団」(MSF)は現在、総勢330人態勢で支援にあたっている。

アムダによると、現地では3月7日からオランダ在住の日本人医師らが調整役として入っており、医師や看護師の医療チーム4人の到着とともに10日から治療などの医療活動を本格的に開始した。約2週間をめどにメンバーを交代し、現在は第5次の看護師1人が活動している。

現地の医療従事者に対し、大量の負傷者が運び込まれた場合を想定した研修を行うスタッフら=ウクライナ西部リビウ(国境なき医師団提供)
現地の医療従事者に対し、大量の負傷者が運び込まれた場合を想定した研修を行うスタッフら=ウクライナ西部リビウ(国境なき医師団提供)

ハンガリーにはこれまで50万人近くのウクライナ人が避難してきたといい、アムダの担当者は「戦火が収まるまで支援を継続したい」と話す。

アムダは昭和59年に設立。災害や紛争が起こったときに、医師や看護師などの医療従事者を派遣し、緊急人道支援を行う団体で、現在32の国・地域に支部があり、日本では約600人の医師や看護師などがボランティア登録している。

一方MSFは、ウクライナ各地の医療機関に聞き取りを行った上で必要な医療物資を輸送している。激しい戦闘が続く東部では外傷を治療するための資材が求められる一方、西部では高血圧や糖尿病、感染症などの医薬品の需要が高いという。

激戦地の周辺地域にある医療機関には、多数の負傷者が運び込まれたときに対応できるよう、戦傷治療の経験豊富な医師を派遣して現地のスタッフらに研修を実施。さらに、東部の医療機関で治療を受けていた患者を西部の医療機関まで搬送する列車をこれまでに6本運行し、計約270人を運んだという。

ただ、東部マリウポリなどの激戦地へは、支援に入れない状態が続いているといい、MSF日本の広報担当、舘俊平さんは「負傷して動けず、避難できずにいる人もいるだろう。早く状況が改善してほしい」と話した。

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