〈独自〉台湾、射程1200キロ巡航ミサイル配備へ 上海射程、対中抑止力強化

台湾が最大射程1200キロの巡航ミサイルの量産を近く開始することが21日、分かった。台湾当局の高官が産経新聞の取材に明らかにした。台湾本島から発射した場合、中国大陸の上海が射程に入る。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて中国が台湾に武力侵攻する可能性に関心が集まる中、この時期の情報開示は中国に対する抑止力の強化を図る狙いがありそうだ。

台湾が量産を開始するのは、射程1000~1200キロの地上発射型巡航ミサイル「雄昇」。弾頭は高性能爆薬型と広範囲を破壊する集束型の2種類で、目標は都市部ではなく中国軍の指揮所や滑走路などの軍事施設、台湾侵攻部隊の集合地点だとしている。配備済みの巡航ミサイル「雄風2E」(推定射程約600キロ)の射程延長型で、目標までの通過地点を設定できるため防空網を突破する能力も向上しているという。

雄風2Eは、台湾侵攻時に中国大陸の台湾海峡沿岸部に集結する中国軍の部隊など「策源地」への攻撃が主目的。雄昇が実戦配備されれば、台湾側はさらに後方の部隊や弾道ミサイル基地などを攻撃できる。また、中国最大の経済都市、上海が射程に入ることで、中国の政治・軍事指導部への心理的な圧力も高まる。

「雄昇」を巡っては、蔡英文政権が昨年11月、立法院(国会に相当)に提出した今年度から2026年度の「海空戦力向上特別予算」に項目だけが記載された。その後、与党、民主進歩党寄りの台湾紙、自由時報が今年3月、関係者の話として、射程に加え100発以上の生産計画があることを報道。立法院の外交・国防委員会に所属する立法委員(国会議員)らが昨年10月に国防部(国防省)系の研究開発機関「中山科学研究院」で秘密裏に説明を受けたとも報じていた。

民進党で同委員会に所属する王定宇立法委員は20日夕、自身のフェイスブックに、「メディアが報じた軍の公開資料」が根拠だとして「雄昇」が「近く量産に入る」と投稿したが、台湾の国防部はこれまで関連の情報を公開していない。(田中靖人)

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