主張

旭川の中2凍死 いじめ放置許さぬ政策を

記者会見する第三者委員会の辻本純成委員長(右から2人目)=15日午後、北海道旭川市
記者会見する第三者委員会の辻本純成委員長(右から2人目)=15日午後、北海道旭川市

北海道旭川市で昨年3月、凍死した中学2年の女子生徒について、市教育委員会の第三者委員会が上級生らによる、いじめがあったと認めた。

調査結果を待つまでもなく明らかで許しがたいいじめだった。これを放置し、いじめと認めてこなかった学校や市教委の責任は重大である。

弁護士らでつくる第三者委の中間報告で、中学や他校の先輩7人により、性的な行為や動画の送信要求が繰り返されるなど6項目がいじめと認定された。市長は「人間の尊厳を大きく傷つける内容だ」と陳謝した。

だがこの調査は遅きに失した。女子生徒は入学直後から、上級生らのいじめを受けていた。令和元年6月には他の生徒らの前で「死にたい」などと訴え、川に入る自殺未遂を起こしている。

その際、学校側は関係者から聞き取りをしたが、「いじめの認定には至らなかった」という。真面目に調査したのか疑わしい。

その後、女子生徒は別の中学に転校した。昨年2月に行方が分からなくなり、翌月に公園の雪の中で凍死した状態で見つかった。

女子生徒を救う機会は何度もあったはずで、悔やみきれない。

家族からの訴えに学校、市教委は、いじめを認めなかった。ニュースサイト「文春オンライン」が、いじめが背景と報じ、重い腰を上げたかたちだ。ようやく第三者委の中間報告が公表されたが、自殺未遂からすでに3年近くが経過している。これで学校に不信感を抱くなという方がおかしい。

大津市の中学2年の男子生徒が平成23年に自殺した事件から10年以上がたつ。この事件を契機にいじめ防止対策推進法が施行されたが、いじめを隠し、責任を認めない学校、教委の問題が繰り返し露呈する。子供らの助けを求める声に真剣に向き合わず、若い命を救えない隠蔽(いんぺい)、事なかれ体質は厳しく指弾されよう。

この実態を変えられるのか。いじめのほか虐待などの問題が深刻化する中で、令和5年4月の創設を目指す「こども家庭庁」の設置関連法案が審議入りした。

いじめ対策では文部科学省と情報共有し連携して対応にあたるというが、子供関連政策の司令塔として具体的にどう関与するのか、国会審議での詳しい説明を求めたい。責任を押し付け合う組織が増えるだけでは困る。

会員限定記事会員サービス詳細