円安加速 原材料高騰を助長 関西企業も懸念

20日午前、1ドル=129円台をつけた円相場を示すモニター=東京・東新橋の外為どっとコム
20日午前、1ドル=129円台をつけた円相場を示すモニター=東京・東新橋の外為どっとコム

円安ドル高が急速に進んでいる。円安は自動車など輸出関連産業にとっては収益拡大につながる一方、輸入品の原材料価格の上昇などで企業によっては逆風となる。影響は企業の業種や規模によりばらつきがあるが、原材料を輸入に頼る製造業や中小企業の多い関西では、収益悪化を招く懸念も出ている。

21日の東京外国為替市場の円相場は、1ドル=128円近辺で取引された。午後5時現在は前日比63銭円高ドル安の1ドル=128円02~03銭。前日20日には一時、20年ぶりの円安水準となる129円台をつけたが、米長期金利の上昇が一服したことから、21日は当面の利益確定などを目的とした円買いドル売り注文が優勢だった。

円安は輸出や海外で事業展開をする大企業の収益を押し上げる。だが、日本銀行の3月の企業短期経済観測調査(短観)では業況判断指数(DI)が自動車(大企業)で7ポイント下落するなど、恩恵があるはずの輸出業種でも景況感が悪化した。円安がロシアのウクライナ侵攻を受けた原材料高を助長し、輸出のプラス効果を打ち消したとみられる。

「円安効果」への疑問は関西の経済界などからも上がる。関西経済連合会の松本正義会長は18日の記者会見で「原材料は日本は相変わらず海外に頼っている。経済構造も大きく変化しており、円安が日本経済にとっていいことだと言える状況が続くのか」と指摘。

日本銀行大阪支店の高口博英支店長は11日、記者団に「企業収益の悪化や家計の実質所得の減少を通じて、関西経済の下押し要因にならないか注意深く点検していく必要がある」と語った。

急激な円安に頭を抱える中小企業も少なくない。

服飾関係の資材などの輸出入を手がけるカジテック(大阪市)によると、アパレル業界では例年、4月ごろに行う翌年の春夏向け商品の価格決定が遅れている。梶浦昇(のぼる)社長は「あまりにも急な円安で(海外から輸入して国内で売るなどする)商品の値段が決まらず、商売が停滞しかねない状況だ」と不安を口にする。

ベトナムの工場で製品を製造する金属加工会社「タカヨシジャパン」(大阪府八尾市)の高島小百合社長は「原料の鉄の価格は1年前に比べ、すでに1・5倍まで上がっている。円安が止まらず、今後の値上がりが怖い」と話した。

経営が圧迫されている企業からは、円安に歯止めをかけるため日銀に利上げを求める声も上がるが、景気失速のリスクもある。

日本総合研究所の若林厚仁・関西経済研究センター長は「日銀が金融緩和を続ければ、日米の金利差が拡大して円安がさらに進む可能性もある。米国の景気が軟着陸し、利上げのペースが落ち着けば円高に振れやすくなる」と指摘。

円安の悪影響を受けている企業については、「製造コストや経費を抑えるのにも限界がある。製品の品質を維持したまま適正な値上げをし、消費者に受け入れてもらうしかないだろう」と語った。(井上浩平、桑島浩任)

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